まもなく、新潟県内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されてから3年が経ちます。
今年5月には、感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ“5類”に引き下げられますが、「警戒を緩めることができない」と話すのは介護業界です。介護現場の置かれた現状を取材しました。
【松村道子キャスター】
「見附市の高齢者施設。非常に身体的接触の多い介護の現場です。この3年間、職員の皆さんは高い緊張感を持って仕事にあたっています」
見附市にある特別養護老人ホーム「大平園」。約100人の高齢者の生活を100人以上の職員が支えています。
【特別養護老人ホーム大平園 佐川透 園長】
「介護度の高い方、特養は介護度3から5の方が入所されているということで、認知症の方もいる。どうしても密着する介護がある」
新型コロナウイルスが県内で初めて確認されて、2月で3年。
新型コロナウイルスが5類に移行するという大きな変化の前にあっても、基礎疾患を持つ高齢者の多い施設の緊張感は変わりません。
【特別養護老人ホーム大平園 佐川透 園長】
「5類になるという中で、感染力が弱まるとか、病原体が変わるということではないので、対応は施設としては変わらないのかなというところ」
去年10月と12月には施設内でクラスターが発生。介助するたびに手指消毒を行ったり、1時間に1回換気をしたりと、感染防止へ緊張の糸は張り詰めたままです。
私生活でも気を遣い続けている職員たち。自身の外出を控えてきたことに加え、大学生と高校生の子どもを持つ職員は…
【特別養護老人ホーム大平園 韮澤栄子 係長】
「(子どもに)『友達と会う』と言われたら、『密になるような遊びはやめてほしい』とか、そういったところは申し訳ないがお願いしていた」
今後、5類への移行で懸念しているのは、介護現場と社会の意識の違いです。
【特別養護老人ホーム大平園 韮澤栄子 係長】
「こういう高齢者施設で働く私たちと他の方というところは、意識や認識の違いがすごく大きいと常日頃感じている。5類に緩むと、なおさら格差が広がるのではないかというのがすごく怖い」
入所者と家族との面会についても慎重な判断が続きます。オミクロン株が流行した去年のはじめ以降行われている、タブレット端末を使った面会。
【特別養護老人ホーム大平園 佐川透 園長】
「ご家族とか外の人たちは『5類になったから、面会もちょくちょくできるのではないか』という認識になると、ちょっと課題が出てくるのかな」
佐川園長は5類に移行後の施設内の対応方針を決めるためにも、行政には丁寧な指針を示してほしいと求めています。