「管理職が全員男性」の企業はどれくらいある?

帝国データバンクは8月17日、「女性登用に対する企業の意識調査」の結果を発表した。調査は7月18日~31日、全国2万7,768社を対象にインターネットで行われ、1万1,265社(回答率40.6%)から有効回答を得た。
○女性管理職の割合は平均9.8%

自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、依然として半数近くの企業で「全員男性」(45.1%)であることが明らかに。次いで「10%未満」が25.9%。政府が目標として掲げている「30%以上」の企業は9.8%と、調査開始以来最高を記録したものの、1ケタ台にとどまっている。その結果、女性管理職割合の平均は9.8%となり、2013年の調査開始以降で最高を更新。しかしながら、前年からの上昇幅は0.4ポイント増にとどまり、1割を下回った。

女性管理職の割合を規模別にみると、うち「小規模企業」が最も高く平均12.6%。他方「中小企業」は10.2%、「大企業」は7.5%と、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均は高い傾向に。また、従業員数別でみても、従業員数「5人以下」の企業が平均15.7%で最も高かった。

業界別では、「小売」(18.6%)が全体(9.8%)を8.8ポイント上回り、トップに。次いで「不動産」(16.2%)、「サービス」(13.5%)、「農・林・水産」(11.8%)が上位に並んだ一方で、現場での作業が多いことなどを背景に女性従業員が比較的少ない「製造」「運輸・倉庫」「建設」は低水準にとどまった。

続いて、自社における女性管理職割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、「増加する」と見込んでいる企業は32.9%、「変わらない」は41.6%。同様に、女性役員について今後「増加する」と考えている企業は13.4%となった一方で、「変わらない」は56.5%と半数以上を占める結果に。

従業員数別にみると、「301人以上」では女性管理職割合が今後「増加する」と見込む割合が63.7%と全体を大きく上回り、女性役員割合についても全体より13.0ポイント高く、従業員数が多い企業ほど女性管理職が増加すると考える割合が高かった。
○女性活躍推進のために行っていること

次に、女性の活躍推進のために自社で行っていることを教えてもらったところ、「性別に関わらず成果で評価」(59.0%)、「性別に関わらず配置・配属」(48.2%)と、男女平等に関わる項目が上位に。次いで、「女性の育児・介護休業を取りやすくする」(40.1%)といった、女性に特化した働きやすい環境づくりに関する対応策が続いた。

また、男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる「就業時間の柔軟化」(27.8%)および「時短勤務の対応」(25.5%)に取り組んでいる企業はそれぞれ4社に1社。他方、政府が特に強化している「男性の育児・介護休業の推進」は15.7%(前年比3.1ポイント増)で前年からの上昇幅は全項目のうち最大に。しかし、「キャリア開発・育成の充実」(7.3%)や「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.6%)といった女性のキャリア支援となる項目はわずかな上昇にとどまった。
○「男性育休」取得率は?

最後に、自社の男性育休取得率について尋ねたところ、平均は11.4%という結果に。規模別でみると、「大企業」が14.1%、「中小企業」が10.6%、うち「小規模企業」が8.6%となり、企業規模が大きいほど取得率が高い傾向にあるよう。従業員数別でみると、現在取得率の公表が義務づけられている「1000人超」の企業が20.8%で最も高く、全体を9.4ポイント上回った。

なお、単回帰分析を用いて、各企業の「男性の育休取得率」と「女性管理職の割合」の関係を確認した結果、男性の育休取得率が上昇すると女性管理職の割合も上昇するという傾向が確認された。