第169回芥川賞、直木賞の贈呈式が都内で行われ、「ハンチバック」で芥川賞を受賞した市川沙央(さおう)さん(43)、直木賞を受賞した「極楽征夷大将軍」の垣根涼介さん(57)と「木挽町のあだ討ち」の永井紗耶子さん(46)に、それぞれ正賞の時計と副賞の100万円が贈られた。
選考会後からネット上で「文学の普遍性を壊したとか、文学家を名乗らないで」と言われていたという市川さんは「私が喋ると炎上しますから気をつけたい(笑い)」と会場の笑いを誘い、受賞スピーチをスタート。それでも「悪名は無名に勝る」という言葉を引き合いに「話題になるだけありがたいと思います」と喜んだ。
垣根さんは直木賞の候補に選ばれてから、他の候補作を手に取ったという。「本の名前は明かしませんが、一冊手に取ったらその本がめちゃくちゃ面白かった。でも面白いってことは俺がやばいじゃん」と焦った思い出を告白。「それでもこれだけ面白かったらしょうがないなと思っていたら幸い僕も選ばれました」と喜んだ。
永井さんは「本当に感謝しかない。20年に賞(『商う狼 江戸商人杉本茂十郎』で第40回新田次郎文学賞、第10回本屋が選ぶ時代小説大賞、第3回細谷正充賞)を頂戴したんですが、当時はコロナ禍だった。たくさんの方にお祝いのメッセージをいただいたんですが会うことはできなかった。でも今回こうしてたくさんの方にお会いする機会をいただいて、うれしく思います。これからも楽しい作品を届けていきたい」と話した。