ボルボ・カー・ジャパンは日本で電気自動車(バッテリーEV=BEV)の拡販を進めている。2023年11月に受注を開始する新型BEV「EX30」では、年内に2,000台を売るという野心的な目標を打ち出した。来年にはテスラ超えも視野に入った? 2023年8月17日にボルボ・カー・ジャパン社長に就任したばかりの不動奈緒美さんに今後の見通しを聞いた。
○日本でボルボとテスラがトップ争い?
ちょっと意外だったのだが、ボルボはすでに日本のBEV市場でかなりの好位置につけている。2022年の登録台数でいくと、テスラの2車種に次いでボルボ「XC40」(のBEVバージョン)が3位にランクインしたとのこと。「プレミアム市場の電動化でリーダーを目指す」というのが不動新社長が掲げる目標だ。
ボルボは2030年までに新車販売の100%をBEVにするという目標を掲げており、2025年には同50%を達成したいとしている。日本でこれを達成するのは相当に厳しそうだが、ボルボが大きな期待をかけているのがニューモデルのEX30だ。同モデルの発表会で不動新社長やマーティン・パーソン前社長(現在は中国全体を統括する販売会社の代表)らに話を聞いた。
報道陣:日本のBEV市場はまだまだ小さいですが、どう見ていますか?
不動さん:これから、たくさんの機会があると捉えています。現状でも「XC40」はテスラに次ぐ売れ行きを示していますが、エントリーモデルとなるEX30の導入で、来年はトップに出ようと意気込んでいます。EX30は年内2,000台の受注を目標としており、来年はもちろん、それ以上を狙います。
報道陣:BEVで短期間に2,000台が売れればスゴいと思いますが、競合の有無を含め、日本でのEX30の状況を教えてもらえますか?
不動さん:EX30は日本市場にふさわしいサイズの小型SUVだと思います。しかも、あらゆる機能が搭載されています。お求めやすい価格であることも、非常にチャンスがあると思う理由です。さらに、弊社が強みとしているサブスクリプションのプランもありますから、いろんな方に経験していただきたいです。受注目標2,000台というのは、決して多すぎる数字ではありません。
パーソンさん:BセグメントのBEVは今のところ小さな市場ですが、成長していくと見込んでいます。それがグローバルトレンドでもあるんです。我々はBセグメントで多くのプロダクトをローンチしていく予定です。EX30は主にニューカスタマーがターゲットになります。
報道陣:新車発表会でEX30のことを「日本のために作ったようなクルマ」だとおっしゃっていましたが、そのあたりのお話を聞かせてください。
不動さん:特にサイズですね。一般的な機械式駐車場であれば、幅も高さもフィットします。あとは、車内のタッチパネルも含め、デザインがサステナブルかつ革新的です。EX30は市場とお客様のニーズに十分にこたえられる仕様、サイズ、価格になっていると思います。
ボルボ・カー・ジャパン販売責任者:ボルボのBEV販売に占めるEX30の比率はものすごく高くなると思います。大部分がEX30になるのではないでしょうか。
※編集部注:ボルボのBEVラインアップは現状で「XC40」「C40」の2車種。ここに「EX30」が加わり、来年には大型SUVの「EX90」も入ってくる予定
パーソンさん:日本はボルボのグローバル販売で10位の市場ですが、EX30の販売だけでいえばトップ5に入ると見込んでいます。日本にこれだけの台数が入ってくるのは、優先されている証拠なんです。
報道陣:BEV販売でいえば世界的にはテスラとBYDが2強ですが、ボルボとしての強み、EX30の強みは?
不動さん:ボルボがもともと持っている安全性ですとか、あとはサステナビリティです。この2~3年で始めたことではなく、歴史も実績もある領域です。
パーソンさん:EX30にはファーストムーバーのアドバンテージがあります。これからBセグメントのBEVが増えていくと思いますが、特に日本では、EX30で我々がファーストムーバーになれるのではないでしょうか。