登別の夏のビッグイベント「登別地獄まつり」が25日に開幕する。地獄の釜のふたが開き、エンマ大王が鬼を引き連れ登別温泉に現れる―。そんな言い伝えをもとにした祭りだ。第60回を迎える今年は、コロナ禍による中止を挟み4年ぶりの開催。エンマ大王が復活し、3日間、温泉街が異世界と化す。
「エンマ大王からくり山車」は必見だ。普段はエンマ堂に安置されているが、祭りではメインストリートの極楽通りを大音響とともに往来。つり上がった目を光らせ、牙をむきだし、腕を振り上げて裁きを下す姿は迫力満点だ。
「鬼みこし暴れ練り込み」は、重さ1トンの赤鬼みこしを100人の若者が担ぎ上げ、威勢のいい掛け声で練り歩く。「鬼踊り大群舞」は観光客も加わっての大にぎわい。地元中高生の吹奏楽部による演奏が花を添え、早食い・大食い競争、仮装コンテストなどの体験型イベントも用意される。
主催する登別国際観光コンベンション協会の大野薫専務理事(69)は「4年ぶりの開催なので準備は大変でしたが、しっかりと安全対策をしてお迎えしたい」と感慨深げ。同協会は計6万人の来場を見込み、公共交通機関の利用を呼びかけている。
〇…登別の注目グルメ「エンマ焼きそば」には、エンマ大王から課せられた3つの掟(おきて)がある。〈1〉道産小麦の平麺を使え〈2〉大王指定の秘密のタレを使え〈3〉登別産または近郊の食材を使え―。これを守った上で、各飲食店では独自のアレンジを加えて提供している。
〇…登別といえば温泉、地獄谷に、のぼりべつクマ牧場、登別マリンパークニクス、登別伊達時代村など観光スポットが目白押し。その中でも穴場として人気なのが「大湯沼川天然足湯」だ。大湯沼はクッタラ火山の爆裂火口付近にできたお湯の沼。そこからあふれるお湯の流れが川となり、天然の足湯場となった。森林浴を楽しみながら自然散策の疲れを癒やすには最適だ。
◆登別市 1951年に町制施行で幌別町に。61年に登別町へ変更。70年に道内では30番目の市となった。地名の語源はアイヌ語の「ヌプルペッ(色の濃い川)」。支笏洞爺国立公園の中核に位置し、登別温泉を抱える道内有数の観光都市。市中西部は室蘭市から市街地が続き、工業都市の一面もある。人口4万4745人(6月30日現在)。