「行方不明者を探しています」を簡単に拡散してはいけない理由 「気を付けたい」「知らなかった」

SNSが発達し、今や遠く離れた人とも簡単にコンタクトをとることができるようになった現代。
インターネットの進化は、私たちの生活を便利にしてくれる一方で、残念なことに犯罪にも利用されています。
世の中には、常人では思いつかないような手を使い、時には他者の善意を利用してまで悪行を働く人が存在するのです。
シェア機能に長けたSNSで、『拡散希望』のひと言とともに、こういった投稿を目にしたことはありませんか。
「家族が行方不明になりました。目撃情報を待っています」
行方不明者は、昔から全国でたびたび報告されています。多くの人に情報を拡散できるSNSは、目撃情報を募りやすい場といえるでしょう。
近しい人が突然いなくなる不安は、誰もが想像できるはず。だからこそ、そういった投稿を目にした人は、「拡散するだけで協力できるなら、ぜひ力になりたい」と思うのではないでしょうか。
しかし、拡散する前に一度立ち止まり、確認してほしい点があります。
投稿に、行方不明になった対象の情報が細かく記載されていたら、信用してしまうのは仕方のないこと。
ですが、もしかすると投稿者はストーカー行為をする人や、家庭内DV、虐待などをしている人かもしれないのです。
『行方不明者』を心配するふりをしているだけで、ネットを通して目撃情報を集め、相手の居場所を特定するのが目的の可能性があります。

もちろん中には、本当に助けを求めて投稿をした人もいるはず。拡散してもいい投稿かを見分けるには、主にこういったポイントがあります。
・掲示されている連絡先が警察の電話番号か
・警察に行方不明者届を出した際の、受理番号が記載されているか
・投稿者の過去の投稿や、フォロー欄などに怪しい部分はないか
拡散ボタンを押す前に、これらの点を確認すれば、不審な部分に気付きやすいかもしれません。
『行方不明者』について、投稿者がどれだけ詳しい特徴をつづっていても、警察が把握している情報かを確認するのは重要といえるでしょう。
なお、警察はウェブサイトでも行方不明者の情報を公開しているため、そちらも併せて確認するとより安全です。
※写真はイメージ
2012年に神奈川県逗子市で起こった『逗子ストーカー殺人事件』では、加害者がネット上で被害者の情報を募っていたことが明かされています。
いうまでもなく、悪いのは他者を利用して悪事を働こうとする人です。
しかし、よかれと思った行動で意図せず人を傷付けてしまうのは、とても悲しいもの。善意を正しく活用するためにも、一人ひとりが気を付けたいですね。
[文・構成/grape編集部]