【上場企業の正社員】女性の賃金が男性より3割低いことが明らかに – 差異が最も大きい企業は?

東京商工リサーチは8月25日、「正規労働者の男賃差異」の調査結果を発表した。調査は、2023年3期決算の全証券取引所の上場企業を対象に、有価証券報告書の「労働者の男の賃の差異」「管理職に占める性労働者の割合」を集計した。

2023年3月期の上場1,677社の正社員の男女賃金差異(女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金)は、平均71.7%(数値が100.0%に近いほど賃金差は小さい)。性の賃は男性より約3割低いことがわかった。

男女の賃金差異は、最多が「70.0%以上75.0%未満」(構成比23.5%)。記載した上場企業は、入社年次や職位・業務が同じ場合、男女の賃金差はないとしている。
○賃金差異が大きい企業は?

賃金差異が最も大きかった企業は、「ファナック」の39.7%。「女性の正規雇用労働者に占める工場契約社員(無期転換社員)の割合が6割程度と大きいことが主な要因。(中略)現在在籍している女性の経験年数が比較的短く、女性の幹部社員比率が小さいことも差異の要因」(有価証券報告書)とのこと。次いで、「日本航空」(45.3%)、「創建エース」(45.8%)と続いた。
○性の管理職への昇格、登が遅れている現状を反映

女性管理職比率(1,706社)は、最多レンジが「5.0%以上10.0%未満」(同22.7%)で、平均9.4%と1割に満たず。政府目標は「30.0%程度」だが、30%以上は73社(同4.2%)と5%に届かない一方、女性管理職比率がゼロは76社(同4.4%)で、「製造業」41社、「卸売業」と「小売業」が各9社、「運輸・情報通信業」と「サービス業」が各5社。各社とも職位・職務などが同等であれば男間の賃差はないとしており、性の管理職への昇格、登が遅れている現状を反映した結果に。
○賃金差異が小さい産業1位は「運輸・情報通信業」

女性の賃金が男性を上回ったのは6社。トップはITサービスの「JBCCホールディングス」(118.2%)で、女性の賃金が男性を1割上回る結果に。次いで「燦キャピタルマネージメント」(116.5%)、「エイチ・ツー・オーリテイリング」(111.9%)が上位に。

産業別で賃金差異の最小は、「運輸・情報通信業」の75.0%。次いで、「サービス業」(74.4%)、「小売業」(74.2%)の順。逆に、「金融・保険業」(63.6%)、「建設業」(65.3%)、「水産・林業・鉱業」(65.5%)では賃金差異が大きく、約4割の差が。

女性管理職比率は、最高が「サービス業」の19.8%。サービス業は女性の感性が生かされる職場が多く、女性社員の多さも女性管理職への登用につながっているよう。一方、女性管理職比率の最低は「建設業」の3.2%。建設業は、女性管理職比率ゼロが「三井住建道路」「ナカボーテック」「新日本建設」の3社あった。