茨城県と茨城県常陸牛振興協会は8月29日、黒毛和牛「常陸牛」の新ブランド発表会を八芳園にて開催した。イベントでは、茨城県の大井川和彦知事が常陸牛の特徴をアピール。またゲストとして登壇した女優の筧美和子さん、お笑い芸人の小島よしおさんは常陸牛を使った八芳園のスペシャルメニューに舌鼓を打った。
○■和牛戦国時代が来ている!?
イベントの冒頭、登壇した大井川知事は茨城県が誇る銘柄牛「常陸牛」について「首都圏を中心に出荷が伸びており、ここ3年間は1万トンを超える生産量があります。近年は輸出も盛んで、アメリカのほか、シンガポール、フィリピン、台湾なども開拓しています。生産量、販売量、輸出量が増え続けている状況です」と説明する。
世界規模で「和牛」の認知度が向上するなか、実は生産地間の競争も、かつてないほど激化しているという。「常陸牛はA4ランク以上の肉に限っているわけですが、全国に流通している牛枝肉格付け構成割合の推移を見ても、その大部分がA4以上になってきています。かつてないほど、全体的に質が向上している状況。いま正に和牛の激戦、和牛戦国時代が来ているわけです」と大井川知事。
そこで茨城県では、さらに質を高めた和牛ブランドを展開していく。そのブランド名は「煌」(きらめき)。認定されるためには「茨城生まれ茨城育ち」「出荷月齢が30か月以上」「歩留等級がA等級以上」といったブランド基準をクリアしなければならない。
「肉の脂の質を左右する『オレイン酸』にも着目しています。ブランド基準では、オレイン酸の含有量が55%以上であることが求められます。この値が高いと、食べたときに口当たりが良く、ジューシーになってくるわけです。あとは『小ザシ』にもこだわりました。小ザシ指数は110以上であること。この値が多ければ口に含んだときの肉を柔らかく感じますし、くどさを感じさせない肉になります」(大井川知事)。
最後に「煌は、本当に素晴らしい、美しいお肉です。この煌ブランドで皆さんを笑顔にしたいと思います」とし、今後のブランド展開に期待を寄せた。
このあと帯広畜産大学の口田圭吾教授が登壇し、和牛の成分について補足説明した。オレイン酸については「牛肉の脂肪中に4~6割ほど入っている成分です。その融点(どのくらいの温度で溶けるか)は13度と低く、口の中に入れるだけで溶け出します。オレイン酸が多いお肉は口溶けが良い、香りが高い、という特徴があります」と解説する。
小ザシについては「和牛の世界に誇る特質だと思っています。霜降りの形状が綺麗にきめ細かく入る状態を小ザシと呼んでいます。小ザシが充分に入っているお肉は、食感がとても良くなる、ということが分かっています」。そのうえで、オレイン酸、小ザシを評価の指標としている煌ブランドには「非常に期待しているところです」と話した。
続いて、小島さんが考案したという3種類の牛肉ソースが紹介された。はじめに出された「生姜醤油」に筧さんは「生姜の香りとお肉が、とても相性が良かった」と笑顔に。次の「トマト&レモン醤油」には「全体的にさっぱりしていたので、暑い時期にも食が進みそう」。
3つめはフルーツソースだった。レモン、醤油、みりん、ワイン、はちみつ、キウイをフライパンで煮詰めたという手の込んだもので、筧さんも「フルーツの甘酸っぱい感じとお肉のジューシーさがよく絡んでいて感動しました」と高評価だった。
最後に、煌を使った八芳園のスペシャルメニューが披露された。これは当日のイベントのためだけに作られたもので、小島さんは「美味しすぎて…今日で引退しても良いです」、筧さんは「とろける美味しさで、なんと表現したら良いか分かりません」と感動していた。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら