『全裸監督』に感化された“韓国の村西とおる”を独占直撃!「日本を見習って革命的でナイスな作品をつくりたい」

リベンジポルノ被害増加を受けて、セクシービデオが事実上の“解禁”となった韓国では、新たなクリエイターたちが生まれ始めている。『全裸監督』に大きな影響を受け、現在は韓国の大手AVメーカーMIBグループを率いる“韓国の村西とおる”ことイ・ソンウ監督(37歳)に独占取材した。
儒教的倫理観の強く残る韓国では、これまで映像内での本番行為はもってのほかで、映像上にモザイク処理を入れることも許されていなかった。そのためセクシービデオの制作も当然ながら禁止されていた。韓国のアダルト業界に詳しいジャーナリストのキム・ジェヒョン氏は言う。「韓国では、日本の成人向け映画のように前貼り(股間に貼り付けて性器を覆い隠すテープなどの総称)をつけて撮る作品しか許されず、長らく擬似プレイ作品しか作れませんでした。
※写真はイメージです
一方で、2000年代中盤から海外にサーバーを置いて動画を配信する違法的なサイトが増え、韓国でも海外で制作されているセクシービデオが見られるようになった。すると、同じ東洋人であり、作品のジャンルが多く、質も高い日本のセクシービデオが圧倒的な人気を獲得するようになったのです」さらに韓国では、違法サイトを通して日本のセクシー女優の人気が急上昇。2009年に蒼井そらが日本人セクシー女優として初めてファンミーティングを行ったことを皮切りに、明日花キララや三上悠亜らもこぞって韓国でファン向けイベントを開催、いずれも好評を博した。
そんななか、2018年に映像のモザイク処理を巡る基準が変わった。実は韓国では2010年ごろからスパイカメラによる盗撮や、元恋人や元配偶者によるリベンジポルノが増加していた。こういった社会問題を受けて、「セクシービデオの規制を緩和する必要があるのでは」という声が上がるようになったというのだ。前出のジャーナリスト、キム氏は解説する。「決定的となったのが、2018年にアイドルグループKARAの元メンバーのク・ハラが元恋人から受けたリべンジポルノ脅迫事件(翌年、クは自殺)です。この事件後、リベンジポルノ被害を減らす効果も狙って、2018年に文化体育観光部傘下の映像物等級委員会によって、セクシービデオにおいて“性器をモザイク処理した映像も審査対象とする”と法改正されたのです」この法改正後の韓国セクシービデオ業界を「今、韓国はまさにアダルトビデオ創世記だった1980年代の日本と同じ状況なのだ」と語るのは、セクシービデオ監督でありながら2018年にセクシービデオメーカー「MIB」を設立し、セクシー女優のプロダクション事業と配信事業、イベント事業を束ねるNAグループの代表を務めるイ・ソンウ監督だ。
イ・ソンウ監督
Netflixの『全裸監督』を見て感化され、「自分こそが韓国の村西とおるになる!」と豪語するイ監督は言う。「我が社には韓国人のセクシー女優が10人ほど所属していますが、やはり日本の女優や作品の人気には敵わない。ですので、浜崎真緒さんといった人気女優を韓国に呼んで撮影したり、日本に来て撮影現場を見学したりと、いろいろと学ばせてもらっています」
今回、イ監督が来日したタイミングでインタビューしたのだが、来日目的は、人気セクシー男優・森林原人氏が企画撮影する配信作品の撮影現場を見学することだ。イ氏いわく、森林氏は韓国のセクシービデオファンからも人気があるそうだ。現場でイ監督は森林氏に付き、カメラアングルの位置や現場の立ち居振る舞いを熱心に観察していた。
森林氏に付いて撮影技術を学ぶイ監督
さらに森林氏の指示により、イ監督が照明付きカメラを手に、モデルのイメージ映像や森林氏とモデルの性行為中の撮影に加わることも。撮影後、森林氏にも話を聞くと、「今日も朝8時から現場入りと韓国チームはとても熱心です。イさんは僕のカメラ回しや女優の体をきれいに見せるアングルなどを吸収しようと前のめりで取り組んでいますよ」とイ監督の姿勢を絶賛。これに対し、イ監督は今後の展望をこう熱く語った。「もちろん私も日本のレジェンド女優、吉沢明歩さんのような美しい女性は好きですが、単にスケベな気持ちでセクシービデオを撮ろうと思ってるわけじゃない。韓国男性から評価の高い日本のセクシービデオ業界を見習って、性欲を発散できる革命的な作品をつくっていきたいと思っている。
撮影陣に笑顔を見せる森林氏
そして、陰気な産業というイメージのある韓国セクシービデオの業界価値を高めて、制作会社団体をつくるなど新たな文化をつくることが目標です。僕はこの仕事に人生を捧げると決めたんです」さすがに白ブリーフ姿でカメラを担ぐスタイルは継承しないが、本家・村西とおるにも劣らない熱いスピリットを持つイ・ソンウ監督。そのナイスな作品づくりで韓国セクシービデオ業界を大いに盛り上げてくれることだろう。取材・文・撮影/河合桃子集英社オンライン編集部ニュース班