「非行少年の親」に多いのはどんなタイプ? 1万人を見てきた犯罪心理学者が説く「危ない子育て」本が話題に

SBクリエイティブが8月5日に発売した『犯罪心理学者は見た危ない子育て』(出口保行著/990円)が好評だ。著者は、法務省心理職として1万人の非行少年・犯罪者を見てきた犯罪心理学者・出口保行氏。

アメリカの心理学者サイモンズは、親の養育態度の方向性を「支配」「服従」「保護」「拒否」の4つに分類。同書では、このサイモンズ式分類をベースに、子育てを「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」の子育ての4タイプとして扱っている。

これまでの経験から、いずれかに極端に偏った家庭に犯罪者が育つことを確信している出口氏。同書は、そんな出口氏が得た”子育ての問題についての知見”を、非行少年・犯罪者の育った家庭環境の事例とともに記した、子育てを見直すための一冊となっている。

今回は同書の中から、「非行少年の親はどのタイプが多いのか?」の一部を抜粋して紹介する。

○非行少年の親はどのタイプが多いのか?

少年鑑別所において多くの非行少年の心理分析を行う中で、非行の背景に親の養育態度の偏りを感じることは多くありました。

それでは、4タイプではどのタイプが多いのでしょうか?

一般的に思い浮かぶのは「無関心型」かもしれません。親が子どもに関心を持たず、子どもが何かしても「私は知らない。子どもが勝手にやったのだから、私のせいじゃない」という親は一定数います。そのような態度では、子どもが責任について学ぶことができませんね。じゅうぶんな愛情を受けることもなく放置されれば、そりゃあグレるでしょうと言いたくなります。

しかし、そればかりではありません。第1章から各タイプの事例を紹介しますが、それぞれのタイプに印象深いケースが多くありました。ですから答えは「どのタイプも多い」です。

養育態度がどちらの方向であっても、極端に偏れば問題が出るのです。

ところで、非行少年が自分の親の養育態度についてどう思うか調査したものがあります。これによると、約4割の非行少年は「親が厳しすぎる」について、そう思うことが「ある」と回答しています。「自分のことを親が気にしない」「親のいうことは気まぐれである」はともに3割程度の水準で推移しています。

いずれも各年の調査で大きく変化せずに一定の割合を保っているということは。普遍的に思われていることと理解できます。

まとめると、非行少年は、親が
・厳しい
・自分のことを気にしてくれない
・気まぐれ
という点において、不満を持っていると見ることができます。

同書では、タイプ別に具体的なケースを取り上げながら、各タイプにありがちなこと、気を付けるべきことを解説。最後には、偏らない子育てを心がけるためのコツやチェックリスト、自分やパートナーの子育てを軌道修正する方法を学ぶ内容となっている。

序章「子育ては4タイプ」、第1章「自分で決められない子――過保護型の身近な危険」、第2章「自分で考えて動けない子――高圧型の身近な危険」、第3章「人の気持ちがわからない子――甘やかし型の身近な危険」、第4章「愛に飢えて暴走する子――無関心型の身近な危険」、付録「子育て4タイプのチェックリスト」、終章「親が気づけば子どもも変わる」、「おわりに なぜ犯罪心理学者が子育てを語るのか?」で構成されており、全240ページ。価格は990円。