JAXAでは、二酸化炭素の排出量が少ない「エミッションフリー航空機」の構想を進めています。この機は既存の旅客機とは全く異なる革新的な設計が特徴。どのようなものなのでしょうか。
現在世界の航空業界では、二酸化炭素の排出量が少ない、もしくは排出しない航空機の開発競争が起こっています。ここ日本でもJAXA(宇宙航空研究開発機構)が「エミッションフリー航空機」の構想を進めていますが、この機体は既存の旅客機とは全く異なる革新的な設計を特徴としています。
驚愕「エイみたいな胴体&10発プロペラ」 JAXAが手掛ける…の画像はこちら >>JAXAが研究を進めている「電動航空機」のイメージ(画像:JAXA)。
JAXAでは、2030~50年代の実用化を目指してエミッションフリー航空機の研究を進めているといいます。
この機の設計は中~大型旅客機を想定して行われ、燃料電池とガスタービンエンジン、発電機、電動モーターを組み合わせ飛行します。この方式の採用によって、発電機の役割を果たすジェットエンジンと推力を生み出すファンを直結させる必要をなくし、設計においてもレイアウトの自由度が非常に高くなるとのことです。
胴体設計は、胴体と翼がほぼ一体となった「ハイブリッド・ウイングボディ」を採用。これは、胴体部や尾翼がなく、主翼のみによって機体全体が構成された「全翼機」に近い設計で、既存の旅客機と比べると、抵抗になる胴体部や尾翼がないことから理論的に理想的な形状であるとしています。
そしてこの機体は、推進装置にも大きな特徴をもっています。胴体後部に取り付けられた10基のファンモーターで飛ぶのです。JAXAによると、2基のジェットエンジンで発電した電気によって、ウィングボディの後端に並べた10基のファンモーターを駆動させる機体を検討しており、現在のジェット旅客機に比べ、燃費を50%以上も削減できると効果が見込まれているそうです。