台湾の人は「台湾有事」どう見ているのか? 武力衝突の可能性めぐり見解割れる

[考 南西「有事」]
「台湾有事」を巡るシンポジウムに参加するため来県した、台湾国防部傘下のシンクタンク「国防安全研究院」の林彦宏(リンゲンコウ)准研究員と、国際政治学者で台湾・輔仁大学の何思慎(カシシン)教授が10日、本紙インタビューに応じた。両氏は、台湾海峡を巡る武力衝突を避けるためには、各国の対話や外交努力が必要だと強調した。武力衝突に関しては、林氏が「可能性がある」とした一方、何氏は「全面的な戦争の可能性は低い」と見解が分かれた。(政経部・大野亨恭、又吉俊充)
林氏は、武力衝突に備え台湾と日米との協力は不可欠だと指摘。台湾海峡周辺での軍事的な抑止力を確保しつつ、衝突回避に向け「日中など関係国同士の対話を積極的に進めるべきだ」と訴えた。
何氏は、中台間の偶発的な衝突の可能性はあるとする一方、武力での台湾統一は困難だと言及。南西諸島で進む防衛力強化は日本の安全に逆行するとし「外交交渉で固い日中関係を築くべきだ」と主張した。
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林氏は台湾世論の分断を狙う「認知戦」にも触れ「思想改造やデマなど『見えない戦争』にも警戒すべきだ」と訴えた。平和維持に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)のような組織を東アジアに創設する必要性にも言及した。