広域強盗事件影響で防犯グッズ売れ行き前年比22倍も 「偽宅配便」対策には「置き配」が有効

全国各地で相次ぐ広域強盗事件の影響で防犯対策が注目を集めている。ホームセンターや大型雑貨店では、防犯関連対策グッズの売れ行きが好調。宅配業者を装った強盗事件が発生していることを受け、大手のヤマト運輸も対策を呼び掛けている。被害を防ぐにはどうしたらよいか、各業種の対応を取材した。(太田 和樹)
ホームセンター大手の「スーパービバホーム」では1月19日に発生した東京・狛江市での強盗殺人事件発生後から防犯グッズの売り上げが伸び始め、全社ベースで前年比約3・5倍と増加。事件の翌週からは店の中心に特設コーナーを設置した。東京・八王子多摩美大前店の福冨豪店長(44)は「事件を受けて今までの防犯対策よりも、もう一段階本格的な対策をしなくてはいけないと思う人が増えたのでは」と売り上げ増加の理由を分析した。
特に売り上げが伸びたのは窓関連の商品。窓に貼る防犯フィルムは約20倍、窓の開閉時や震動があったときに音が鳴る商品は約22倍となった。福冨店長は「強盗といえば窓をイメージする人が多いため、窓関連の商品が売れているようです」と話す。
さらに同店がある八王子市では昨年11月に東京都立大の宮台真司教授が襲撃される事件も発生。そのときも「防犯ブザーはありませんか」などの問い合わせがあったという。「年末の時期に事件があったので防犯の意識が高まっていた部分もあるのでは」と話した。
生活雑貨チェーン「ロフト」の池袋ロフトでは、窓に付ける補助錠の売り上げが前月に比べ約3倍伸び、一部の商品は売り切れたほど。狛江市の事件では高齢女性が被害に遭ったこともあり、販促担当の松本賢一さん(48)は「強盗事件を受けて心配になってグッズを求める人が多いです。主に50代以上の女性から『家を守るものはないですか』などといった問い合わせが多い」と話した。

◆ヤマト運輸「置き配の指示をしてもらえれば対応
「ルフィ」一味が関与した疑いのある東京・狛江市や中野区の強盗事件で、実行犯は宅配業者を装って住居に侵入し、犯行に及んだ。ヤマト運輸では事件の頻発を受け、「宅配業者を装った事例を社内でも共有し、注意喚起しました」という。
ヤマトでは約6万人いる自社のセールスドライバーだけではなく、業務委託した小規模の宅配業者や個人事業主など様々なパートナーと契約し、荷物を届けている。自社のスタッフは緑地に黄色のラインの制服を着用しているが、外部の配達員はそれぞれの制服や作業着を着用して配達する。このため「ヤマトからの宅配でも必ずしも緑の制服を着ている人が配達するわけではない。ここを見れば見分けられるといった明確なものを回答するのは難しい」(担当者)という。
インターホンのモニターやドアののぞき窓から配達員の姿が確認できても荷物を受け取ることを不安に思う人は、コロナ禍で注目された「置き配」の利用をお勧めしている。担当者は「インターホン越しに置き配の指示をしてもらえれば対応します」と話した。
◆ALSOKは問い合わせ3倍 〇…警備大手のALSOKでは、広域強盗事件の発生前に比べ、問い合わせ件数が3倍ほど増えたという。担当者は「ホームセキュリティーなどの内容に関するものや、高齢者の見守りに関する問い合わせが多い。事件が報道されてどういったサービスなのかを知りたいと思った人が増えたのでは」と推測した。