空港で異彩を放つ超大型旅客機はまれに「ジャンボ機」「スーパージャンボ」と呼ばれることがありますが、航空ファンや関係者からは「ボーイング747」1機種だけを指すのが通説です。ただ、ボーイングは当初その愛称に否定的だったといいます。
空港で異彩を放つ超大型旅客機はまれに「ジャンボ機」「スーパージャンボ」と呼ばれることがあります。たとえば総2階建ての胴体をもつエアバスの超大型機「A380」などは、メディアからも「スーパージャンボ機」と称されることも。 しかし、「ジャンボ」の名を冠した旅客機は、航空ファンや関係者からは1機種だけを指します。ボーイングが2023年初頭まで生産していた「747」シリーズです。
大型旅客機=「ジャンボ」ではありません! いまや公認となった…の画像はこちら >>ボーイング747(画像:ボーイング公式SNSより)。
ボーイング747は1969年に初飛行。70m超の巨大な胴体かつ、その前方部の客席が2階建てとなっており、当時の旅客機の数倍となる人数を一度に運べるモデルとして、世界中の航空会社で人気を博しました。とくに日本ではJAL(日本航空)やANA(全日空)が主力機として長年導入し続けたモデルのひとつで、一時期は都市圏の空港で「必ず見る」ことができるものでした。
この巨大さから「ジャンボ」は大型機としてピッタリな愛称ともいえますが、もとをたどると実は「ジャンボ」の由来は当初からというわけではないようです。
「ジャンボ」の語源は、19世紀に実際にいたアフリカ象の名前といわれています。諸説あるものの、スワヒリ語で「こんにちは」の意味を持つ象の名前が愛称になった、というのが最有力です。象のジャンボはその後1882年、「世界最大の象」との触れ込みでアメリカのサーカスに輸入されました。この象から「ジャンボ」という言葉が生まれたというのが定説です。
開発当時、旅客機としては異例の大きさであるボーイング747に当てはめたのが当時のメディアです。一説では言い出したのは日本の記者とも。「ジャンボ」は「バカでかい」というマイナスイメージを伴っていたことから、ボーイングは当初この愛称を使いたがらなかったそうですが、世間に浸透した影響を踏まえ、現在では同社もこの呼称を認めています。
こうして「ジャンボ機」はボーイング747の二つ名として長年使用されたわけですが、その後エンジン2発ながら、4発機である747とほぼ同等の乗客を運べるボーイング777、そしてキャパシティの面では747を上回る世界最大の旅客機「エアバスA380」などが出現します。
A380は超大型機市場をボーイング747に奪われていたことに対抗すべく、エアバスが生み出した超大型機で、747より収容力が高いことから「スーパージャンボ」ともメディアを中心に紹介されました。売れ行きは747には遠く及ばなかったものの、その比類なき大きさから、現在でもこの機のことを「スーパージャンボ機」と称する声は多く聞かれます。