福島原発事故“3つの検証” 新潟県が総括も…「総括にならない」池内前委員長が年内にも独自の総括公表へ

福島第一原発事故を巡り、新潟県がとりまとめた3つの検証の総括について池内了前総括委員長は17日に会見を開き、「総括にならない」と批判しました。年内にも独自の総括を公表する考えです。

【池内了さん】
「単に書かれていることの簡略版を示すだけではこれは総括書にはならないと私は思っています」

17日に会見を開いたのは、新潟県の3つの検証の総括を行うはずだった委員会の前委員長池内了さんです。批判したのは県がとりまとめた検証の総括について。

総括を巡っては、県と池内前委員長との間で意見が対立したまま総括委員の任期が切れ、県が事務的に取りまとめることに。そして、県は9月に総括結果を公表し、花角知事は「各委員会の報告書に矛盾がなかった」として柏崎刈羽原発の再稼働の議論を進める考えを示しました。

【花角知事】
「議論もこれから福島ではなくて柏崎刈羽原発の議論を始める、その重要な材料が出来上がったと思う」

しかし…

【池内了さん】
「事実をね、やわらげたり、はしょったり、それからあえて触らなかったりというような書き方をしている」

池内前委員長は報告書以外の文書を引用するなどし、福島第一原発事故の被害を小さく見せようとしていると批判しました。

【池内了さん】
「きちんと読みますと、巧妙に福島事故の悲惨さを弱めて、避難の困難さとか被ばくへの悪影響を軽く見せるようなバイアスが認められる」

また、会見に同席した米山前知事も県の総括について論点を列挙しているだけのものと指摘。池内前委員長は東京電力の原発を動かす適格性なども踏まえた独自の総括を年内にも公表する考えです。