「視力と体力が低下」「学校行きたくない」…コロナ下の生活3年、子どもたちに起きた異変

[マスクの下 こころとからだ 子どもたちの今]
3年間に及ぶ新型コロナウイルス下の生活は、子どもたちの心や体にどのような影響をもたらしたのか。沖縄タイムスが実施した小中学校アンケートでは、目に見える異変からわずかなサインまで、数多くの回答が寄せられた。それぞれ紹介する。(「子どもたちの今」取材班・棚橋咲月)
【体への影響】視力さらに低下・虫歯が増えた 身体の発達への影響では、最も多く挙がった事例の一つが視力低下だった。「ゲームや(オンライン授業で使う)タブレット利用時間の超過が背景にある」「子どもたちの視力低下が年々進んでいるが、テレビやゲームの時間が増えたことでさらに低下している」などの指摘があった。
運動不足による各方面への影響を挙げる学校も多かった。肥満のほか、「体力テストの成績が下がった」「けがが増えた」「転んで骨折した」との回答がそれぞれ複数あった。
「外出していなかった生徒は体育の授業で立っているだけで熱中症や体調不良となった」と回答した学校は、「2年目、3年目となり、子どもたちの体力、筋力は回復してきている」とも記し、日常生活が戻りつつあることをうかがわせた。
「運動部に加入する子どもが減っている」「自粛期間で気持ちが萎(な)えてスポーツを辞めてしまう子がいた」という回答や、「外出する機会が減り、心理的にも閉塞(へいそく)感がある」など体と心の結び付きを示唆する指摘も見られた。

「受診控え」の影響も垣間見える。
「虫歯が増えた」という回答がその一つで、「学校での歯磨き時間がなくなり、保護者も歯科受診を避ける時期があった」「マスクをするので朝の歯磨きを怠る児童が増えている」と懸念が寄せられた。歯に限らず、学校の定期健診で所見があっても受診を控えるケースがあったとの回答も見られた。
「後遺症で通常登校ができなくなった」と記した学校も複数あった。
【心への影響】学校行きたくない・友達関係に不安 子どもたちから不安や悩みの訴えが「増えた」「どちらかといえば増えた」と回答した学校は6割近く。事例としては「出席停止による授業の遅れ」「交流サイト(SNS)のトラブル」「学校行事の縮小や中止に伴う『学校に行きたくない』『楽しくない』などの不満や不安」「家庭内の問題」など、学校から家庭まであらゆる場面に及んだ。
「せきをしただけで周りの目が気になる」「感染する不安、させる不安」などコロナ感染に直接関わるもの、さらに「マスク着用が当たり前になり、『外すのが恥ずかしい』『見せたくない』などの心理的影響が見られる」など、マスクを巡る回答も多く寄せられた。
保健室の利用が「増えた」「どちらかといえば増えた」は過半数に上った。理由を尋ねたところ、「頭痛、腹痛」「生活リズムの乱れからくる体調不良」のほか、「一緒に遊ぶ機会が減り、友達関係に不安を感じている」「長期欠席で教室に入ることに不安を覚える子どもが増えた」なども。学校全体で健康観察するようになったことで「必然的に来室者が増えた」という指摘もあった。

子ども自身は訴えないものの、教職員から見て心身にストレスが疑われる言動や異変を尋ねた質問では、「大いにあった」「どちらかといえばあった」が47%だった。
「友達や級友が体調を崩して早退する姿を見て不安になる生徒がいた」「表情が暗くなり、活気がなくなった」といった回答や、「暴力的な行動や言動が見られる」「他者とのかかわりが不足し、人間関係づくりがうまくできなくなったと感じる」「鉛筆をかんだり、ノートに乱暴な落書きをしたりする」などの事例が挙がった。「登校渋りが増えた」という回答も多かった。
必要な活動を奪われ体に異変 ■丹野清彦教授・琉球大教職大学院
コロナ禍で子どもの発達に必要な活動が奪われ、それが体の異変となって現れている。子どもたちが体を通して訴えていると受け止めて、学校側は子どもたちをサポートしてほしい。例えば、子ども同士がコミュニケーションを取る場面を授業で多く取り入れることで、発達を補う一手になる。
マスク着脱を巡り、感染に不安がある子ども、マスクを外して表情を見せることに不安がある子どもの姿も浮かんだ。物事を理解することによって、子どもは安心をする。新規感染者が減ったからとか、政府が決めたからではなく、この3年間を丁寧に振り返り、どのような病気なのか理解を促す学習が、今の子どもたちに必要なのではないか。
コロナ禍は学校に行くか行かないかの2択から、オンラインという第3の選択肢をつくり、学校に行けない子どもに新たな支えを用意した。一方で、アンケートの回答は、学校は人との関わりを通してこそ学びや遊びが生きる場だということを改めて教えてくれたと感じる。(談、教育学)