【VIP待遇!】F1日本GPをアストンマーティンのパドッククラブで体験してきた

三重県の鈴鹿サーキットで開催された「F1日本GP」には、3日間で22.2万人ものレースファンが訪れた。この数字は平成21年にF1日本GPが再開されてから最多というから、レース人気が再燃しつつあるのだろう。当然、我らがホンダのパワートレインを搭載したレッドブルの強さ、2026年の新型ホンダエンジンの復活(アストンマーティンと組む予定)、そして、日本人唯一のF1ドライバーである角田裕穀の頑張りが要因であることはいうまでもない。今回はアストンマーティンのパドッククラブでF1日本GPをフル体験してきた。

○パドッククラブとは?

F1を観戦するには観客席のチケット(場所によって数千円から8万円前後)を購入することになるのだが、それとは別に「F1を愛する方のための特別な観戦エリア」とするパドッククラブでの観戦という方法があって、こちらは78万円というなかなかの価格になっている。そこではピットガレージの真上にあるラウンジでグルメな飲食が楽しめるほか、ピットレーンウォーク、トラックツアー、ガイド付きパドックツアー、ドライバーやアンバサダーのインタビュー、レーシングシミュレーターによるドライブ体験やライブなどを楽しむことができる。

もうひとつ、F1参加チームの関係者やVIPオーナーが集う招待制のパドッククラブで楽しむという方法もある。当然ながら、こちらは無料だ。ここでは前述のサービスのほか、チームごとのスペシャルサービスが行われている。

○アストンマーティンのセーフティカーに同乗!

筆者が参加したアストンマーティンのスペシャルメニューとしては、フリー走行前後のアロンソとピットクルーのインカムによる会話を作業を見ながらヘッドフォンで聞けるピットツアー、そして、同社が提供しているセーフティカー(ヴァンテージ)やメディカルカー(DBX707)の専属ドライバーがドライブするそれぞれのマシンの助手席に同乗し、大観衆が注目する中、本コースを全開で1周するという「ホットラップ」があった。

ラッキーなことに、私が振り当てられた5号車4回目のドライバーは、セーフティカーを担当して20年以上という有名なベルント・マイランダーさんで、鈴鹿の1~2コーナーやS字では縁石まで使った豪快なコーナリングをしてくれたり、裏のストレートでは250km/hというハイスピード走行を披露してくれたりとサービス満点だった。

彼の走り方はブレーキングが短く正確で、加速はフルスロットルでメリハリが効いていた。TVで見ているとあまり速そうに感じなかった(後方にF1カーが走っているから)ヴァンテージだが、やっぱり速いのだと確信することができた。

マイランダーさんからは走行後にピットに招かれ、無線機やモニターがぎっしりと詰まったセーフティカーのヴァンテージと、AEDなどの医療機器と消化器を搭載したDBX707の装備の説明を聞くことができた。専用ピットのすぐ外にはドクターヘリが待機していた。

○F1は半年後に帰ってくる!

各ポジションに出向くためには、プログラムごとに専用のIDカードと共にそれぞれのリストバンドが必要で、それがないと厳重に設置された各ゲートを通過することができない。面倒といえば面倒だが、特別感があってそれもまた楽しい。空ではブルーインパルスによる華麗な演技が披露され、雰囲気は最高だ。

目の前で繰り広げられた予選では、「サムライ魂」の文字を車体に描き込んだアロンソ(ヘルメットには侍や仏塔の絵が書かれていた)と角田のバトルが面白かったし、異次元のタイムを叩き出した王者フェルスタッペンのレッドブルホンダや正確で安定感のあるピットクルーの作業を真上から見ることができて、それはもう貴重な体験だった。

今のところ、レッドブルの絶対的な牙城はなかなか崩せそうにない感じだけれども(決勝ではフェルスタッペンが優勝、レッドブルのコンストラクターズタイトルが決定)、残りのレース(次でフェルスタッペンのドライバーズタイトルが決まるのだろう)や来年の展望はどうなのだろうか。

F1日本GPの開催予定はこれまでの秋から4月に早まるという。半年後にはこの興奮がまたやってくるのだ。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら