BATのゼロニコチンベイプ製品が日本に本格上陸 -「Vuse Go 700」の挑戦

BATジャパンは、全米No.1のシェアを持つ同社の旗艦ベイプブランド「Vuse(ビューズ)」から、使い切りタイプの新モデル「Vuse Go 700(ビューズ・ゴー・700)」のゼロニコチンタイプ全8銘柄を8月21日より順次Amazonサイト限定で発売した。

欧米を中心に世界的に普及するベイプ製品は、リキッド(液体)を電気で熱して発生させる蒸気を吸うことで楽しめる製品。BATジャパンでは、今年4月より「Vuse Go」シリーズのゼロニコチンタイプ4銘柄を数量限定でテスト販売し、約1万本を約2カ月で完売した。

そして、テスト販売で購入したユーザーの約90%が今後の購入意欲を示したという「Vuse Go」がさらにパワーアップ。「Vuse Go 700」となり、8月21日より日本市場に満を持しての投入となった。このタイミングで「Vuse Go 700」が本格投入された理由、そして今後の展望について、製品の特徴とあわせて、日本における「Vuse Go 700」のキーマン2人に話を伺った。

○■ゼロニコチンベイプ製品を日本へ本格投入

BATジャパンが日本に加熱式たばこ「glo(グロー)」を投入したのが2016年末。それから6~7年という短い期間で、日本における加熱式たばこの市場シェアは30%を超えている。

「この短い期間で、これだけ市場が動くのは普通はありえないことです」と話すのは、BATジャパン マーケティング部門 エリア ヘッド オブ モダンオーラルの松本新氏。この大きなシェア変動が起こった要因について、周囲や健康への配慮といった消費者ニーズの変化を指摘し、「そこをさらにもう一歩、二歩と進めると、ニコチンも入っていなければ、灰も出ない、より味を楽しめる製品も受け入れられるのではないか」と分析。これが今年4月のテスト販売の背景になっているという。

経済産業研究所のレポートによると、ゼロニコチンのベイプ製品の日本における市場規模は約600億円と推計されており、「十分な規模がありながら、4月にテスト販売を行うまでは、弊社のポートフォリオにはなかった」と振り返る、BATジャパン マーケティング部門 エリア ヘッド オブ コンシューマー エクスペリエンス モダンオーラル&ベイパー責任者のパシャ・スハノフ氏。消費者が紙巻きたばこから加熱式たばこに移行する要因として、配慮に対する動きのほか、多彩なフレーバーとシンプルさを挙げ、「Vuse Go」に十分な勝算を見出していた。

とはいえ、4月にテスト販売が行われた際、「日本市場にゼロニコチンの製品が受け入れられるかは正直不安がありました」と内心を打ち明ける松本氏だが、Amazonのみでの数量限定販売にも関わらず、消費者の反応も良好。約1万本を約2カ月で売り上げ、購入者からのフィードバックも非常にポジティブなものが多かったという。さらに、購入者アンケートの結果も、今後の購入意欲が9割を超えるなど上々。日本市場に、ゼロニコチンベイプがより大きな市場を構築する余地が十分にあると判断し、今回の本格導入に至った。

そして、購入者のフィードバックを細かく見ていくと「もっとパフ(吸引)数が欲しい」「もっと味わいのラインナップがあれば」といったコメントが多く、そういった購入者の声を参考に、「Vuse Go」をパワーアップした製品が、「Vuse Go 700」となっている。
「Vuse Go 700」の特徴
4月にテスト販売が行われた「Vuse Go」は、ミント・アイス、ブルーベリー・アイス、スイカ・ベリー、クラシック・レギュラーといった4つのフレーバー、500パフ(吸引)の使い切りタイプ。8月から本格発売となった「Vuse Go 700」は、ミント・アイス、グレープ・アイス、グリーン・アップル、ブルーベリー・アイス、スイカ・アイス、マンゴー・アイス、ストロベリー・アイス、そしてクラシック・レギュラーの8フレーバーと2倍に増強。パフ数も500から700と引き上げられつつ、価格は据え置きの980円で提供されている。

フレーバーの選択については、テスト販売の結果を参考にしつつ、グローバルでの人気も反映されているというパシャ氏。「特にベイプ製品に関してはバラエティを提供して、様々なフレーバーから選んでいただくことを重視」し、人気のメンソール系を中心に、クリーミー系やフルーティー系のフレーバーがラインナップされている。

「Vuse Go 700」はフレーバーだけでなく、デバイス本体にも様々な工夫が追加されている。まず大きく変わったのはマウスピースの形状。こちらは、グローバルでも口当たりの評価の高かった新型マウスピースが採用されている。さらに、底面には「エアフローコントロール」と呼ばれる呼気調整機能を搭載。ON/OFFスイッチの位置を変えることによって、吸い込みレベルを二段階で調整することができる。なお、ON/OFFスイッチの位置については「フレーバーをしっかりと味わいたい場合は真ん中がおすすめ」と松本氏。さらに、円柱だった本体をダイヤモンド形状にすることによって、転がりを防止しているほか、手に取ったときのフィット感も向上させるなど、細かなユーザビリティまでケアしたデザインとなっている。

そして、もっとも大きな進化ポイントは、パフ数が500から700に増えたところ。これは本体内部のヒーティングテクノロジーを改良することで実現しており、同じリキッド量でありながら、味の感じ方や煙の量を保ちつつ、1.4倍のパフ数を可能としている。なお、パフ数はあくまでも目安吸引回数で、その回数を保証するものではないので注意しておきたい。

「Vuse Go 700」の特徴について、パシャ氏は「加熱式たばこの場合は、デバイスだけでなく、たばこスティックも必要となります。しかし、この『Vuse Go 700』は、箱を開けたらすぐに吸えますし、充電も不要。このシンプルというコンセプトと豊富なフレーバーが人気の裏付けの一つになると思います」と強調する。

その上で、「『Vuse』というブランドを広く認知してもらい、信頼してもらうことが何よりも大事」という松本氏。「Vuse」がアメリカだけでなく、フランス、ドイツ、カナダなどでもNo.1シェアを誇っているのは、「フレーバーが優れている」「ラインナップが多い」「安全基準に関して真面目に取り組んでいる」といった理由であるとし、「これを日本のお客様にもしっかりと認知させていきたい」と意欲を見せる。
○■ニコチン製品との共存も可能

BATでは、「Vuse Go 700」のほかにも、紙巻きたばこはもちろん、その代替製品として加熱式たばこの「glo」やオーラルたばこの「VELO(ベロ)」など幅広い製品を展開している。これらの代替製品と「Vuse Go 700」は、決して競合ではなく、共存できると断言するパシャ氏。「消費者はひとつの商品、ひとつのブランドではなく、マルチプロダクト、マルチブランドを選び、楽しんでいます。実際、それぞれの製品特徴が異なっていますから、そのときの気分や場所、機会によって使い分けられる」と共存の可能性を示唆する。

「私達のお客様はテクノロジーを好む方が多く、『Vuse Go 700』の販売をAmazonで行っているのも、それがひとつの理由」というパシャ氏は、「最近は、できるだけ時間を無駄にしたくない方が多く、ポチッとクリックして、翌日には配送されるような手軽さが受ける」と分析する。消費者とのコミュニケーションにおいても、SNSの利用を重要視し、インスタグラムのアカウントを作成したという。

また、SNSに限らず、音楽フェスへの参加をはじめ、様々な活動を通して、ブランド価値を高めていきたいとの展望を明かす。

それに対して、「デジタル戦略はできるかぎり速いスピード感が必要なので、何が効果的で、何が機能しないか、それを学びながら、即座に実際のアクティビティに活かすというPDCAをできるだけ速いスパンで回し続けることが今後の肝になる」という松本氏。「まずは『Vuse』というブランドを知ってもらうことが第一。そして、信頼できる、信用できるブランドであることを皆様に認知していただきたい」と、今後の普及に向けた意気込みを見せた。