前代未聞の空港兼「養蜂場」!? 1日2便の萩・石見空港があまりにクセ強な件 あの手この手で盛り上げろ!

島根県の西部にある「萩・石見空港」は羽田線が1日2往復のみ運航しており、利用率も高いとはいえませんが、実は個性的な取り組みを多く行っている空港でもあります。どのようなものなのでしょうか。
かつて吉田松陰が開校し多くの幕末の志士を輩出した「松下村塾」があった萩(山口県)、そして世界遺産にも登録されている石見銀山(島根県)、この両方の地域名を冠したのが「萩・石見空港」です。しかし、この空港は山口県でも、石見銀山がある島根県大田市にあるわけでもなく、旧石見国(島根県)の最西部、山口県境を接する益田市にあります。
2023年現在、発着する定期旅客便はANA(全日空)が運航する羽田線の1日2往復のみ。のどかな時間が流れる空港ですが、実は、知る人ぞ知る個性豊かな側面を持ちます。
前代未聞の空港兼「養蜂場」!? 1日2便の萩・石見空港があま…の画像はこちら >>萩・石見空港(乗りものニュース編集部撮影)。
萩・石見空港は1993年に開港しました。現在の2往復が実現したのも、地方路線の充実を目的に国土交通省が主催した、羽田発着の地方路線に発着枠を配分する「羽田発着枠政策コンテスト」のたまもの。それ以前は1日に1往復のみしかありませんでした。
2023年8月時点の実績によると、羽田~石見線の搭乗率は約58%。ANA国内線全国平均の76%を下回る結果となっています。また島根・山口両県は空港が密集しており、島根県には出雲空港が、山口県には岩国空港と山口宇部空港があります。萩・石見線の搭乗率はこれらの空港と比較して、おおむね10%以上下回る結果となっています。
状況から見ると“順風満帆”とはいえない萩・石見空港。ですが、実は個性的な取り組みを多く行っている空港であることはあまり知られていません。
2008年、萩・石見空港では飛行機の離着陸がない時間帯を活用して、全国初の「現役空港で唯一滑走路を走れるマラソン大会」を開催しました。この大会は2023年も続く名物イベントです。
そして、文字通り“モノ”の名物もあります。2016年からはターミナルビル管理会社が空港内に、国内のみならずアジア地域初となる養蜂場を設け「空港はちみつ」を発売。このはちみつは過去に国内で「最もおいしいはちみつコンテスト」を受賞したこともあるそうです。
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萩・石見空港で売られている「空港はちみつ」(乗りものニュース編集部撮影)。
おもてなしもユニークです。萩・石見空港のある益田市では柴犬のルーツとなった石州犬が生まれた場所であることから「柴犬発祥の地」をアピールしており、一部到着便では、柴犬による出迎えが実施されています。このほか2022年には、益田発の女性アイドルグループを萩・石見空港アンバサダーとして任命し、空港圏域の観光情報を発信する活動を展開しています。
空港利用を促進するキャンペーンも展開されています。たとえば、同空港を利用し、島根県内の宿泊施設に1泊する2名以上の乗客に対し、レンタカー(2日間)を3000円で利用できる企画を実施中。年末年始などを除き2024年3月末まで、この価格で借りることができるとのことです。