航空機事故想定し訓練 780人参加、連携確認 新たに外国語対応実施 成田空港

航空機が着陸に失敗し炎上事故が起きたと想定した訓練が、成田空港の整備地区で行われた。成田国際空港会社(NAA)や千葉県、成田市などの周辺自治体、消防など65機関から約780人が参加した。消火や救護の手順や連携を確認したほか、訪日外国人の回復に合わせ、オンラインを活用した外国語対応の治療訓練も新たに実施した。
乗員乗客83人が乗った旅客機のタイヤが出ないトラブルが起きて滑走路に胴体着陸し、炎上したと想定した。NAA消防の化学消防車などが初動対応に当たり、応援に駆け付けた各自治体消防と一斉放水した。
炎が落ち着くと、自力で歩ける旅客から避難。消防隊員が重傷者と意識不明者を抱えて機体から救出し、担架で救護テントに運んだ。医療スタッフはけがの重さで治療の優先順位を決めるトリアージを行い、救急搬送するまでの流れを確認した。
訪日旅行客数がコロナ禍前の水準に戻る中、今回はオンライン通訳を導入。中国語のみを話す軽傷の旅客が旅客ターミナルへ避難した後、体調の悪化を訴えたと想定。問診・診察する現場の医師はタブレットでビデオ通話した医師の通訳を受け、精密検査が必要と判断し救急車を手配した。
NAA保安警備部の阿知波剛司担当部長(50)は「事故対応でもオンライン通訳を積極的に使っていく」とした。
首長など関係機関の約220人も訓練を見守った。訓練後、NAAの田村明比古社長は「さらに旅客は増えていく。空港運営の礎である安全確保と危機管理を一層気を引き締めて行うために協力してほしい」と呼びかけた。