3年半前に盗まれたゴッホの名画が無事回収 IKEAの袋に入って美術捜査官の自宅へ

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オランダの美術館で3年半前に盗まれたゴッホ作『春の庭』が、無事に回収された。回収に至った経緯を『ABC』や『The Guardian』他が報道してる。

2020年3月のコロナ禍、閉館してたオランダにあるシンガー・ラーレン美術館から、『春の庭』と名付けられたゴッホの絵画が盗まれた。
『春の庭』は最高520万ポンド(約9億5,700万円)の価値があり、総額で約1,800万ポンド(約33億1,300万円)の損害に値すると伝えられている。
その犯行は大胆なもので、犯人はハンマーのようなものでガラスドアを壊し、美術館に侵入。最近になって、防犯カメラに映った犯行の様子が公開されている。
事件当時に通称ニルス・Mという人物が容疑者として浮上し、2021年4月にはゴッホとフランス・ハルスの絵画を盗んだ罪で、オランダのバールンで逮捕された。しかし、絵画は所持していなかった。

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美術品窃盗を専門に扱う捜査官のアーサー・ブランド刑事によれば、盗まれた美術品はマフィアによって売買されているのだという。『春の庭』が盗まれてから3ヶ月後に、ブランド刑事はその絵画がマフィア関連のオンラインに掲載されていることを発見した。
必死の捜査の甲斐があって窃盗犯を特定し、仲介者や絵画を購入した人物もすべて逮捕に至った。オランダでは、美術品窃盗は懲役8年の実刑が科せられる。また今回のケースでは、約870万ユーロ(約13億7,000万円)の罰金も言い渡されたと伝えられている。

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この事件は、窃盗犯が逮捕されたにもかかわらず、肝心の絵画は見つかっていなかった。そんななか、詳しい経緯は公表されていないものの窃盗犯逮捕のニュースを受けてか、ある1本の電話がブランド刑事にかかってきたという。
電話の主は男性で、「ブランドさん、ゴッホを返却してもいいのですが、トラブルに巻き込まれたくないんです」と話した。ブランド刑事は男性が信用して絵画を返却できるように、自宅へ届けるよう告げたそうだ。
こうしてブランド刑事の自宅に届けられた『春の庭』は、IKEAのブルーのショッピングバッグに無造作に入れられ、外からは数十億円の価値がある絵画だとは、想像もつかない状態だった。

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ブランド刑事は絵画『春の庭』を、貸し出し中だったクローニンガー美術館のアンドレアス・ブリューム館長に返却。真贋鑑定で本物と分かり、胸をなでおろしたという。
『春の庭』は、ゴッホが1884年に実家に2ヶ月戻っていた時に描かれた作品。牧師館の裏庭が美しく表現されており、ゴッホの特徴でもあるダークトーンの色使いが象徴的だ。
絵画が盗難に関係ない人から返却された謎について、『春の庭』の持つカルマだと言う人がいる。それは、絵画の中央にいる女性がゴッホの不倫相手で、作品がその因果応報を背負っているからだそうだ。
現在、『春の庭』は修復のため、アムステルダムのゴッホ美術館に保管中である。