高速道路のSA・PAで深夜帯にトラックがあふれ、駐車マス不足が顕在化するなか、全日本トラック協会が国の審議会である提案を実施。委員からも好反応が寄せられました。それは「トラックステーション」の“道の駅”的な使い方ともいえます。
国土交通省は2023年10月24日、道路政策を話し合う有識者審議会「第59回国土幹線道路部会」を開催。そこで発表を行った全日本トラック協会 寺岡洋一副会長のある“提案”に、委員会から好意見が寄せられました。
「トラックステーションも仲間に入れて」 高速道路の駐車マス不…の画像はこちら >>札幌トラックステーション。食堂が3月に営業を終了するなど、トラックステーションは縮小傾向にある(画像:北海道トラック協会)。
寺岡副会長はいわゆる「物流の2024年問題」を控えたトラックドライバーの現状を説明したほか、荷主から高速道路料金を十分に収受できない現状を踏まえ、高速道路料金の引き下げや割引の拡充、そしてSA・PAで深夜帯を中心に顕在化している大型車マスのさらなる拡充を訴えました。
その一環として提案されたのが「道の駅を対象とした『高速道路の休憩施設の不足解消に向けた社会実験』に、トラックステーションを加えてほしい」ということです。
トラックステーションとは、一般道の幹線道路沿いなどに設けられたトラックドライバー向けの休憩施設で、宿泊施設や浴場、休憩室、食堂などを備えることもあります。全日本および各地のトラック協会などが運営しているもので、大型車の駐車スペースを備えた休憩施設が少なかった昭和50年代から整備が進み、トラックドライバーの福祉施設としての側面ももっています。
一方で、現在は道の駅の整備も進み、トラックドライバーの多くはこちらも利用しています。全国23の道の駅では、ETC2.0搭載車に限り、指定のICで高速道路を一時退出してIC近くの道の駅を利用しても追加料金がかからないという社会実験が行われています。
この対象に、トラックステーションを加えて欲しいというわけです。
トラックステーションは現在、全国に23か所あり、トレーラーマスと大型車マスを合計すると1354台分に上ります(普通車用マスは538台分)。
提案を聞いた審議会の委員からは、「既存の施設を利用するのはよいこと」などと、おおむね好反応が寄せられました。「既存のSA・PAなどはどちらかというと観光客向け。もっとトラックドライバーに目を向けた施設の充実を」という意見もあり、それにも応えられるかもしれません。
トラックステーションはあくまで事業用トラックが優先ではあるものの、一般の人も利用でき、中には食堂運営をプロの業者に委託していたり、大手旅行サイトで宿泊予約が可能だったりするところもあります。ただ、その数は減少傾向です。社会実験が実現すれば、道の駅と並んでトラックステーションの知名度が上昇する日もくるのでしょうか。
ちなみに、高速SA・PAの大型車マスは全国的に拡充が進められていますが、全日本トラック協会からは、マスを少し大きくしてほしい、という要望もありました。理由は、サイドミラーの接触事故が起こっているからということです。ただ、これについてはマスの数が減ってしまうため、いろいろ矛盾してしまうとの意見もありました。