「スチールウール? いやタイヤだ!」ブリヂストン 全て金属性のタイヤを公開 その用途とは

銀色に輝くタイヤ。
東京ビッグサイトで2023年10月25日から開催中である「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023:JMS2023)」のブリヂストンブースでは、見慣れない全て金属製の謎のタイヤが展示されています。
「スチールウール? いやタイヤだ!」ブリヂストン 全て金属性…の画像はこちら >>全金属製の月面用タイヤ(画像:乗りものニュース編集部撮影)。
このタイヤはトヨタとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が、月面の有人調査に向け共同で開発している有人与圧ローバ「ルナクルーザー」に装着するタイヤとして計画されているものだそうです。
月面の有人活動用に月面の過酷な環境でも耐えるために、金属製になっているようで、ブースの担当者に話を聞くと「月は大気がかなく宇宙放射線が降り注ぎ、昼の温度が120度以上、夜はマイナス170度以下です。その過酷な環境では従来のタイヤの素材を残念ながら使うことはできず、オール金属になっています」と話します。
さらに調査予定地は一面に砂地が広がっているようなエリアのため、電車の鉄輪のように硬い車輪の場合、砂に沈んで進めないという問題がありました。
そこで、接地面を広くするために、ある程度柔らかい素材を使い針金を編んだような構造になっており、トラクターなどが使う農業用のタイヤのようにたわんで平べったい接地面を作る効果があるそうです。なお、宇宙空間で使える金属に関しても限られるそうで、公開された試作タイヤはステンレス性とのことです。
空気を使っていないということで、同タイヤはエアレスタイヤに分類されます。タイヤ交換はほぼ不可能な月面に車両を派遣するということで、担当者は「ある意味究極のサステナビリティ(持続可能性)が必要かもしれません。こうした研究で得た知見を使っていきたいとも思っています」と、ほかのエアレスタイヤ研究にも役立つ可能性があるかもと話していました。
なお同ブースでは他に、充電ゾーンを走ることで、車体のバッテリーに充電が行われるタイヤも公開していました。充電ゾーンなどを設置できる巡回バスや、自動運転で会場の敷地内を走るバス、あるいは空港の中などを公共スペースをひとまずは想定したタイヤのようです。