自殺の防止に向け、悩みを抱える人の相談に応じる社会福祉法人「千葉いのちの電話」(千葉市中央区)が、相談員の確保に頭を悩ませている。新型コロナウイルスの影響で制限していた24時間態勢での電話相談を、今夏から全面的に再開した。一方、相談員の高齢化や慢性的な人手不足で電話に対応できないケースもあり、新規のボランティア相談員を募集している。
千葉いのちの電話は1989年に開設され、電話の他、インターネットと対面による相談に応じている。自殺した人の家族の支援活動にも取り組んでいる。
2020年に感染拡大が始まった新型コロナの影響で、千葉いのちの電話の活動は制約を受けてきたものの、今年5月の5類移行に伴い、7月から3年ぶりに電話相談の受付時間を24時間に戻すことができた。ただ、人手が足らず取れない電話も増えており、斎藤浩一事務局長(68)は「相談する人はやっとの思いで電話する人も多いはず。電話を取れない状況はどうにか減らしたい」と訴える。
現在、千葉いのちの電話では200人がボランティアの相談員を務めている。相談員の平均年齢は66歳で、年代別では60~64歳と55~59歳が多くなっている。10年前は300人超の相談員がいて相談の受け付け態勢が整っていたが、高齢で体力がなくなり引退する人も増え、相談員の数は減少傾向にある。
相談員になるには約1年の「養成基礎研修講座」を受講する必要がある。グループワークや座学を通じて、相談者への寄り添い方を学ぶ。斎藤事務局長は「さまざまな職業、年代の方にその人生経験を生かしてほしい」と協力を呼びかけている。
受講料は約5万円。来年度の研修講座の応募締め切りは12月20日。11月3日には事前説明会も開かれる。申し込み・問い合わせは千葉いのちの電話(電話)043(222)4416。
◆昨年の自殺者1021人 千葉県内、前年から43人増
千葉県健康づくり支援課によると、県内の昨年の自殺者数は1021人で前年より43人増加した。1994年以降では、2011年に1370人となった後は減少傾向にある。過去5年間の自殺者数は千人前後で推移している。
千葉いのちの電話の相談専用電話は(電話)043(227)3900。