軽なのにオットマン付き! スズキの新型「スペーシア」は小さな高級車?

スズキが新型「スペーシア/スペーシアカスタム」を発表した。燃費は向上、安全装備は充実、メーターはデジタル化するなど全面的な進化を遂げているが、注目はリアシートの新装備「マルチユースフラップ」だ。使い方によってはオットマンにもなるスズキ初採用の機構により、スペーシアは小さな高級車になった?

○軽ハイトワゴン業界は競争激化?

スズキ「スペーシア」は背が高く広い室内スペースと両側スライドドアを備える軽スーパーハイトワゴンだ。初代は2013年に登場。今回の新型で通算3世代目となる。

新型は全グレードがマイルドハイブリッドシステムを搭載。価格は153.01万円~219.34万円となる。現行型(2世代目)は最も安いスペーシアの「HYBRID G スズキ セーフティサポート非装着車 2WD」が131.23万円~、最も高いスペーシアカスタムの「HYBRID XSターボ 4WD」が~229.02万円だ。

スズキによると「軽ハイトワゴン」の保有台数は右肩上がりに増加中。2022年度は全体で748万台、そのうちスズキの車両は148万台を占める。今後は軽ハイトワゴン同士の乗り換えが増えていくというのが同社の見立てだ。

新型スペーシアの開発はユーザーへのインタビュー調査から始まったとのこと。客の細かなニーズを探り、「もう一度原点に立ち返り、とことん突き詰めて」作ったのが新型スペーシアだというのがスズキの説明である。

新型スペーシアは標準タイプとカスタムの2種類。デザインは大容量の「コンテナ」がモチーフだ。先代は「スーツケース」をモチーフとしていたが、新型はよりたくさんモノが積めそうで、使い倒せそうな印象になった。カスタムのエクステリアは立体感とワイド感を強調。インテリアは「ホテルラウンジ」のような上質さを追求したという。

○オットマン付きのクルマは超高級車ばかり?

後席にはスズキ初の新規装備「マルチユースフラップ」を導入。後席に座った際の膝の下の部分に追加となった新装備で、引き出したり角度を変えたりして3つのモードを使い分けられる。引き出して好みの角度にすれば、伸ばした足を置いておける「オットマン」に早変わり。オットマンが付いているクルマといえばトヨタ自動車「アルファード」とかロールスロイス、メルセデス・ベンツ「Sクラス」などが思い浮かぶが、軽自動車での採用は聞いたことがない。

先進運転支援システム(ADAS)も進化している。アダプティブクルーズコントロール(ACC)はカーブや車線変更時の速度抑制機能が追加に。カメラで行く先を見て、カーブが来れば手前で減速、曲がっている途中も快適な速度を維持してくれる機能だ。ACC作動時の車線維持支援機能も採用したとのこと。これで高速道路を使った長距離移動はより楽になるはず。

気になる燃費は現行型より向上している。「HYBRID G 2WD」というグレードで比べてみると現行型は22.2km/L、新型は25.1km/Lとなる。ガソリンエンジン車はエンジン自体を新しい世代のものに変更。空気抵抗の改善や車体の軽量化などもあり、燃費がよくなったそうだ。車体の各部に防音アイテムを追加したことで静粛性も高まったという。

新型スペーシアの駆動方式は2WDと4WDから選べる。カスタムのみターボエンジンを組み合わせることが可能だ。発売は11月22日の予定。販売目標は合計で月間1.2万台とする。