「最早バイオテロ」糸引きマフィンの“ゆうパックで商品回収”が物議…日本郵便の見解は

具材が糸を引くほど腐敗したマフィンを販売するなどして食中毒を発生させ、物議を醸している焼き菓子店が11月16日、商品を回収すると発表した。同店はX(旧Twitter)上で《この度は、当店製マフィンのことで大変ご迷惑をおかけしました、深くお詫びを申し上げます》といい、《マフィンの自主回収を進めております。下記サイトからお手続きお願い致します》と呼びかけている。
指定されたリンクにアクセスすると食品リコールを知らせる厚生労働省のサイトに遷移。今回の回収は9種のマフィン、3008個が対象になると記されており、さらに店主は回収方法についてこう綴っている。
《60サイズのゆうパック発払いにて以下の住所までご郵送後、ご連絡ください。(ご返金がお済みの方は当店にご連絡していただいてからの発送をお願い致します)》《私の名前を語った殺人予告文が教育機関に送られていたため警察へ相談に行きました。いたずら等を避け、ご購入のお客様対応に集中させていただくため、本来は着払いでお受けしなくてはいけないところ発払いでお願いいたしております》
しかし、この回収方法が物議を醸すことに。ゆうパックでは官公署や細菌検査所、医師や獣医師が差し出したものを除き、生きた病原菌や生きた病原体を含有・付着しているものの郵送はサービスの対象外となっているためだ。さらに、今回のマフィンの健康への危険性の程度は最も危険度が高い「CLASSI」と厚労省が指定しており、これはフグなどの有毒魚や毒キノコなどと同等の扱いとなる。
そのため、Xでは《ちょっとまって 病原菌ついてる可能性あるものを入れるのはゆうパック禁止してるでしょダメだよ》《ゆうパックで病原菌(食中毒菌)が付着しているか、付着していると認められる物は送れないんですが》と疑問視する声が相次ぐことに。
また《最早バイオテロ》という嘆きや、《自分の送った郵便物に腐った食品が付近にあると考えたら…マジで嫌なんだけど…??》と危惧する人も。さらに《腐敗した食品を扱う郵便局の人が可哀想》《大量にマフィン送られてきたら郵便局の人可哀想すぎないか》と、郵便局側の負担を心配する声も上がっている。
■食中毒マフィンをゆうパックで回収することは適切?日本郵便の見解は
食中毒を引き起こしたマフィンをゆうパックで回収することは適切なのか? 本誌の問い合わせに対し日本郵便の担当者は次のように回答した。
《一般的には、以下のものについて、ゆうパックで差し出すことができません。
・爆発性、発火性、その他の危険性のある物で総務大臣が指定するもの・毒薬、劇薬、毒物および劇物(官公署、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師または毒劇物営業者が差し出すものを除きます。)・生きた病原体および生きた病原体を含有し、または生きた病原体が付着していると認められる物(官公署、細菌検査所、医師または獣医師が差し出すものを除きます。)・法令に基づき移動または頒布を禁止された物・人に危害を与えるおそれのある動物(学校または試験所から差し出され、またはこれにあてるものを除きます。)
引き受け時に荷物を確認のうえ、上記に該当することを確認した場合は引受けをお断りしますが、確認できない場合は、引受けをお断りすることは困難です。なお、今回お問合せいただきました件につきましては、上記に該当するものであるか、詳細について分かりかねますので、当社からお答えすることはいたしかねます》
つまり、やはり生きた病原体を中身とするゆうパックは、規則的には差し出し出来ないということだった。担当者は「今回に関しても『毒物が入っています』という申告をした上で郵便局に持ってきた場合はお断りいたします」とコメントしている。
しかし、実際に“断れるかどうか”というと難しいところだという。
「『毒物です』といって持ってくる人の方が少ないと思われます。普通にゆうパックを持ってきて『お菓子です』と言って持ってこられた場合には、我々のほうではお断りすることがまず困難です」
糸引きマフィンは、日本郵便をも巻き込む騒動となってしまったようだ。