自民党内でNTT法撤廃への動きが進むと報じられるなか、X上で、異例のバトルが繰り広げられている。
NTT法の撤廃が検討されたきっかけは、防衛費増額の財源として政府の保有するNTT株を売却する案が浮上したことだった。現状の法律では株式の売却が難しいことに加え、研究成果の公開義務が規定されていることでグローバル競争上の優位性を毀損しているのではないかという懸念から、法律自体の廃止が検討されている。
「この動きに、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯3社が猛反発。3社はNTT東西が持つ光ファイバーなどの設備に接続して、全国でインターネット回線などのサービスを提供しています。そのため法律の廃止でNTTが完全に自由になることにより、料金の値上げや経済安全保障上の問題が生じることを懸念しているのです」(WEBメディア記者)
14日に自民党の“NTT法廃止”提言の原案が報じられると、楽天モバイルの三木谷浩史会長(58)は自身のXに次のように投稿した。
《報道どおりだとすると、自民党の「甘利氏」をリーダーとするプロジェクト。『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない。携帯含め、高騰していた通信費がせっかく下がったのに逆方向に行く最悪の愚策だと思います。国民の通信の将来など全く考えてない。こんなことがまかり通ってはいけない》
この投稿にはソフトバンクで代表取締役社長執行役員兼CEOを務める宮川潤一氏(57)のほか、KDDIで代表取締役社長を務める高橋誠氏(62)もX上で反応。相次いで反対の姿勢を示した。
NTT側も言われっぱなしではない。11月17日にNTT広報室のXアカウントは三木谷氏の投稿を引用し、次のように厳しく反論した。
《NTT法に関連して当社よりお伝えしたいことがあります。「税金で整備した光ファイバー網を持つNTTの完全民営化は愚策」説の勘違い保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンスな話です》
さらに続けて、《(1)KDDが電電公社から分離した際、電電公社の資産を引き継いでいますが、KDD法を廃止して完全民営化した際も、そのまま資産を保有して事業をやっています》《また、ソフトバンクも元々の母体である日本テレコムが国鉄から分割された際、国鉄の通信資産を受け継いでいますが、そのまま事業をやっています。JRは民営化後でも線路はJRの保有のままです》と指摘。
また、《(2)そもそも光ファイバーはほぼ全て公社ではなく民営化後に敷設しています。(3)ドイツテレコム、フランステレコムなどが会社法を廃止する際に保有する資産を受け継いでいます》(※引用にあたり、特殊文字を一部修正)ともコメントしていた。
日本の超大企業4社が、X上でバトルする姿にSNS上では驚きの声が広がっている。
《TOP企業が公共の場で議論…発信力って大事だなぁ…ちょっと怖いけど》《NTTがガチギレしとる》《バッチバチやないですか》《これは広報の歴史に残るSNSバトルwwww》