人手不足に悩むアパレル販売員。人材確保への策!

TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!
11月20日(月)放送後記
このところ、色々な業界で人手不足が問題となっていますが、今日はアパレル業界の人手不足解消の対策について。実はアパレル業界では、今、販売員、つまりショップ店員の人手不足が深刻なんです。
そんな中、オンワード樫山が、今年度から始めたのが、『ショップマイスター』制度。これは、販売員の定年再雇用者を対象に、一定レベル以上の評価を得た人材を『ショップマイスター』として認定する、というものですが、導入の背景を、オンワード樫山販売人材ディヴィジョンの冬木麻子さんに聞きました。
オンワード樫山販売人材ディヴィジョン 冬木麻子さん
「ファッション業界というのは、トレンドを追いかけている業界ですので、若いターゲットとか労働力というものに目が行きがちなんですけれども、実は販売というのは、培った技術やスキル、お客様のニーズを見出す力とかっていうものが、非常に必要になってきますので、マイスターのように磨かれていく職業だと思っているんですね。ですので、長く働いてもらいたい、そして今若いメンバーも『もう私、ある程度の年齢になったら販売は難しいわ』ではなくて、60歳を過ぎても、この販売という仕事で活躍できる場があるということには、なっていくのかなという風に考えております。販売職というのは、ファッションが好き、という人材のやる気の上で成り立ってきた、という部分も多くて、だけれどもしかしながら、好きだけでは続けられないという状況もありますので、ワークライフバランスが取れる、そして長く働けて、販売の仕事でもキャリアが築けるというようなことが、人材確保に向けて、今後とても重要になってくるのではないかなと考えています。」
若いうちしかできない、長くは続けられない、では人材はあつまりません。そこで『ショップマイスター』制度を作ったということ。
『ショップマイスター』に認定されると、毎月ショップマイスター手当が支給されて、おおむね定年前の給与水準が維持されます。認定されたマイスターたちからは、お給料面はもちろんですが、会社がキャリアを認めてくれたということがやりがいに繋がる、と好評。
初年度、定年退職者でマイスターに認定されたのは3割。なかなかの難関ですが、キャリアを重ねて、それが会社に認められる制度があることで、今いる若い人材にも目標ができるし、人材が離れてしまうことを防ぐことができるのではと考えたのです。
せっかく販売員になってくれた人を手放さず大事にする、という人材確保の策。
一方で別の角度から人材確保の策を提案している会社があります。どんな方法なのか?株式会社メッシュウェル 代表取締役の窪田光平さんのお話です。
株式会社メッシュウェル代表取締役 窪田光平さん
「自分の好きな時に、短い時間だけでも働くことができる、という契約を実現させているというものになるんですけれども、私もうちの会社のメンバーもほとんどみんなアパレルの出身で、実際にサービスを始める前に、僕の周りにもいる結婚や出産で仕事辞めた方に質問したことがあるんですよ。また仕事したいって思ったことない?販売員やりたいって思ったことないの?って聞いたら、何言ってんですか?ってちょっと怒られまして、やりたいに決まってるじゃないですか。でも自分のペースで仕事をするっていう方法で、仕事が見つかんないんです、ってみなさん言っていて。要は日中だけ働きたい、週に3日間だけにしたいとか、こういう細かい条件交渉っていうのを企業さんとするって企業側もすごく大変なので、だったら、もう条件を自分で提出して、でそこに企業側が依頼をかけていくっていう方法であれば、もしかしたら上手くいくのかななんて考えて、今、実際そういうサービスの仕組みになっているんですけど。」
アパレル販売員のウーバー(Uber)、のような感じで、『この日この時間が働けます』と言う販売員さんに、お店側が仕事を頼むという働き方。(ウーバーは、今働けますと手を挙げた人と配達して欲しいお店のマッチング。)
つまり、その日その時間だけ、その店の店員として店に立つ。ちなみに仕事は、接客と、店頭にある洋服をたたんだり、陳列を整えること。レジや在庫管理はしません。
最近はネットで商品を探して、これありますか?と店頭に来るというお客さんも多く、買い物の仕方が変わってきているのだそう。(身に覚えある方も多いのでは?)
だから、商品の知識で接客するというよりは、欲しいと言っている物が似合うかとか、その商品なら他にもこんなコーディネートができますよ、と提案するといったスキルを使う接客が多くなっているので、初めてのお店でも充分務まるんです、と窪田さん。
洋服の買い物の仕方の変化も、こういった新しい働き方を可能にしているんですね。
メッシュウェルの登録者は10月末で6305人。登録店舗は800店と増えてきています。特にコロナ明けからは、ニーズを実感しているという窪田さんに、これからについて聞きました。
株式会社メッシュウェル代表取締役 窪田光平さん
「今、人が足りなくて、お店を回すのに四苦八苦しているアパレルのお店って結構多いんですよ。足りないんですって。昔はすごく人気で憧れの仕事みたいな風に言われたこともありましたけど、やっぱり時代も変わって、今はまた違う仕事が人気になったりもしますし。これからどんどん日本は高齢化社会なので、どんどん働き手は減っていく中で、人手が足りないっていう会社はどんどん増えていくでしょうし、一方では、働き方を見直したら働けますっていう方が、かなりまだ潜在的には、日本の中に、いっぱいいると思っているので、そういう方に使って頂ければ、お互いのニーズは埋めることができるんじゃないかな、なんて思ったりしてます。」
社員、アルバイト・派遣、だけだったアパレル業界の働き方に、業務委託という第三の選択肢を加えたことにより、働けなかった人たちを掘り起こせそう、と。
オンワード樫山の冬木さんも、給料などの待遇の改善とともに、ライフワークバランスに合わせて、長く自分のスタイルで働ける職種だと、イメージを変えていきたいとおっしゃっていました。
働き手の9割は女性というアパレル業界。結婚や出産などの生活の変化の影響が大きいのも事実。
メッシュウェルの登録店舗は800店と伸びてはいますが、実は全国には10万店舗もあるんで、まだまだなんです、と窪田さんはおっしゃっていましたが、働き方の選択肢が増えたことは、人手不足の解消につながるのではないか、と期待ができそうです。