警察に家を破壊された女性が修繕費求め市を提訴 控訴審で判決が覆えり…

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アメリカで、警察に自宅を破壊された家主が修繕費の支払いを求めていた訴訟。巡回控訴裁判所が一審判決を覆し、家主の請求を否認した。『Fox News』『DC Weekly』などが伝えている。

2020年7月、テキサス州マッキニー市在住の女性(78)が、老後のリタイア生活を送るためにモンタナ州へ引っ越した。
それまで住んでいた同州の一軒家を売りに出したところ、すぐに購入希望者が現れ、売却手続きの最終段階に入っていたという。
ところが7月25日の夜、ある男が少女(15)を誘拐してその一軒家に押し入った。男は2年前に女性宅のフェンスなどの修理をお願いした男だった。
当時の女性宅には、物件の引き渡しまで女性の娘が住んでいた。騒ぎに気付いて逃げ出した娘が、警察に通報したそうだ。

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すぐに警察が駆け付け、住宅を取り囲んで男に投降を呼びかけた。しかし男は拒否して、銃で武装したまま女性宅に立てこもった。最終的に警察の特殊部隊(SWAT)が女性宅に突入すると、男は少女を解放したのちに自殺した。
事件は解決したものの、特殊部隊突入時に催涙ガスや爆発物が投げ込まれた影響で、外壁やフェンスをはじめ、すべてのドアと窓が破壊された。
また男の自殺も相まって、内装までもぐちゃぐちゃに。この住宅を購入予定だった買主は、購入自体をキャンセルしてきたという。

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修繕費のみならず多大な損害を被ったが、女性は住宅保険をかけていたため、保険会社に損害を請求をした。しかし警察の即時強制を理由に、支払いを拒否されてしまった。
そこで女性は、同州警察およびマッキニー市に対し、修繕費の支払いを求める訴訟を提起。予備審問で、市は修繕費を全額支払うという和解案を出したが、女性側が拒否した。
というのも、今後女性のような家主が同じ目に合わないように、警察の職務遂行で発生した損害にも対応するよう法改正を要求したが、市が拒否したからだ。

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複数回の審理を重ね、裁判所は市に対して、約900万円を女性に支払うよう命じる判決を言い渡した。市側は判決を不服として控訴した。
そして今年10月に開かれた控訴審では、一審判決が覆され、市側は賠償不要として女性の請求を否認する判決が下された。
裁判所側はその理由を、「人命救助に必要な破壊行為で損害が発生しても、警察は賠償責任を負わない」と説明。事実上、女性側が敗訴した形で、女性側は再審理を求めているが、否決されたら最高裁に上告するという。