ビックカメラで家電を購入すると突如「10万円」の割引に… そこには店とメーカーの思惑が

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「え、何これ。結局カカクコムの最安値よりもずっと安いじゃない?」
家に帰ってレシートを見て、電卓をたたくと驚愕のお得な買い物になりました。それも合計で10万円ほど。
これは週末にビックカメラにテレビの買い替えに出かけたときの体験談です。20年ほど我が家のリビングに鎮座していた大画面テレビを思い切って買い替えることにしたのです。大型の家電を買うときはカカクコムの最安値のお店から通販という人もいますが、私は逆に大型の家電は多少高くなっても量販店で各メーカーについて詳しく説明していただいて買うようにしています。
さて、今日の話題はそのときのキャンペーンで“混乱したまま”得をしたという話です。
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家電量販店あるあるの話だと思いますが、年末商戦のときは店頭価格も大きく下がりますし、それに加えてお得なキャンペーン情報が提示されていることがあります。今回もそうで、テレビの売り場には「同時購入値引き」の大きな表示がありました。
大型テレビと壁寄せテレビ台の2つを買うつもりでした。それで店頭に表示されている同時購入値引き4万円の条件を満たすのですが、店員さんによれば追加でブルーレイレコーダーを購入すればさらに2万円引きになるというのです。
ブルーレイレコーダーは持っていますから買うつもりはなかったのですが、よくよく話を聞いてみると最新のレコーダーは4K放送の録画ができます。そもそも古いレコーダーは内蔵ハードディスクがそろそろ寿命に近いはずなので、ついでに奮発してレコーダーも買うことにしたのです。

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頭の中ではレコーダーが約10万円で、同時購入値引きが合計6万円だからまあ予算オーバーしてもいいかなぐらいの計算でした。ところが帰宅してみると驚き桃ノ木で(死語?)さらに4万円キャッシュバックされるという嬉しいお知らせが目に入ったのです。
そもそも値引き以外にポイントもつくのでちゃんと計算しないといくらで買ったかその場ではわからないということもあります。今回の事件はそこではなく、勘違いした理由はビックカメラの同時購入値引きとよく似た条件で、ソニーが同時購入キャッシュバックキャンペーンを行っていたことでした。
チラシによればテレビの購入で2万円、レコーダーを同時購入すればさらに2万円と書いてあります。金額が似ているので店頭で表示を見ても同じキャンペーンだと誤解していたのです。

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さて結果的に嬉しいサプライズになったのですが、それにしてもなぜこのように値引きやキャッシュバックが重複するのでしょうか? 実は経済のメカニズムが関係しています。メーカーと小売りはそれぞれ無関係に年末商戦のキャンペーンを企画するのです。
今回の場合、ソニーの販売企画の人が家電商品を大々的に売り出そうと考えて、それで企画したのがチラシに書かれていた「最大7万円キャッシュバック」というキャンペーンだということです。メーカーの販売企画の人は年末商戦に向けて数十億円の販促費を予算計上してこうしたお得なキャンペーンを実施しているのです。
一方でこれも経済としては当たり前の商習慣ですが、小売店の販売企画の人も「年末商戦を盛り上げるために何か大々的なキャンペーンを考えなくちゃ」と思うのです。それが偶然重なって「テレビとレコーダー同時購入で大幅値引きキャンペーン」がビックカメラの店頭で行われていたということです。
このようにキャンペーンを企画する立場の人がメーカーと小売店それぞれにいるために、たまにこうやってダブルで得をする機会が出現するのです。このメカニズムを理解した読者の方もこの冬のうちにお得に買い物をしてしまってはどうでしょうか。

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Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「大型家電の購入キャンペーン」をテーマにお届けしました。