[社説]ガザ戦闘再開 停戦が唯一の解決策だ

待ち望んでいた平穏は、わずか7日間で終わった。 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が1日朝、再び始まった。ガザ全域の400カ所以上で激しい空爆が行われ、戦闘再開から3日までに200人以上の市民が死亡した。 ガザ保健当局によれば、犠牲になったほとんどが女性と子どもだという。何の罪もない人々が次々と死んでいく現状を、一刻も早く止めなければならない。 イスラエル軍はガザ北部を掌握し、南部に地上侵攻を拡大する構えだ。住み慣れた家を追われ空爆の中で避難を続けている人々に対し、軍は南部に退避せよと求めた。これから攻撃を仕掛ける場所への退避要求となれば、安全な場所は一体どこなのか。ガザの人々の「どこへ逃げれば」という嘆きも当然だ。 軍はこれまでも、人々のライフラインである水道や電気を遮断。避難住民や多くの子どもたちが過ごしていた学校を攻撃し、地区最大の病院を管理下に置いた。 非戦闘員を巻き込んだ攻撃について、ネタニヤフ首相は自衛的行動だと主張する。しかし、乳幼児や傷病者の命を救う病院を軍事作戦の標的とする行為は国際人道法で禁じられており、国際法違反だ。 戦闘再開についてイスラエル側は、ロケット弾の発射や人質解放でハマスが休止合意に反したと主張している。だがそれでも、力で市民を圧倒する現状は自衛権で許された範囲をはるかに超えている。「ハマスの責任だ」と正当化されるものではない。■ ■ 「何人死ねば終わるのか」。再び激しい空爆に見舞われたガザの人々は、悲痛な叫び声を上げている。 10月7日に戦闘が始まってから、パレスチナ人1万4800人以上、イスラエル人1200人以上の死者が出た。その数は日を追って増えている。それでもネタニヤフ首相はハマス壊滅に向けて「誰もわれわれを止められない」と言及。残虐とも言える行為に、国際社会の批判が高まっている。 イスラエルを支持するバイデン米大統領に対し、米国内でも疑問視する声が出てきた。ワシントンやニューヨークでは、イスラエルを批判し停戦を求める大規模なデモが行われ、米政府の海外支援機関である国際開発局の職員千人が停戦支持を表明した。 停戦や人質解放交渉に、米国の存在は欠かせない。世論の声を聞き、現実を見据え、断固たる態度で「人命優先」の立場を貫いてほしい。■ ■ 先月24日の休戦以降、イスラエルとハマス双方から約300人の人質が解放された。家族らと抱き合う姿に喜んだものの、ハマスはまだ多くの人質を拘束している。早急に全員を解放すべきだ。 そして国際社会は停戦に向けて一丸となる必要がある。 国連安保理は臨時会で「人道的休止」を決議。国境なき医師団は声明で「持続的な停戦を求める」と訴えた。ガザの人道危機を止め、さらなる犠牲を出してはならぬ、との機運が世界に広まっている。唯一の解決策は停戦である。