【千葉魂】千葉ロッテ高部、苦難を糧に けが乗り越え一層強く

「苦しい一年でした」。契約更改会見に姿を現した高部瑛斗外野手は開口一番、そう口にした。昨年、44盗塁で盗塁王を獲得。ゴールデングラブ賞を受賞するなど華やかな一年を送った男は今年、開幕前に右肩を痛め、1軍未出場で一年を終えた。
「今年一年、本当に悔しかったし苦しかった。モヤモヤした日々を過ごした」と振り返る。
□ ■ □
3月に右肩を肉離れ。3月下旬にバンデリンドームで行われたドラゴンズとのオープン戦に間に合わせ何とか1軍復帰をしたが、万全を期すため開幕1軍メンバーから漏れた。その後、2軍で慎重に実戦復帰をしたが、4月に右肩を痛めるとなかなか状態が上向くことなく復帰と離脱を繰り返した。8月に胸郭出口症候群と診断されると9月1日に群馬県館林市の病院にて第1肋骨(ろっこつ)切除術を実施し昨年137試合に出場した男は今季1軍未出場のままシーズンを終えることになった。
「苦しかったけど、いい経験をしたと将来、思えるようにしたい」と高部。懸命なリハビリ生活の中で身体の仕組み。とりわけ肩や投げ方を自発的に勉強した。
「客観的に野球を見ることができました。打撃も見ましたけど、どうやったら肩に負担なくスムーズに投げることができるか。メジャー選手も含めていろいろな人の動画を見て、人の動きを研究し改善をした」(高部)
2軍では野手だけではなく投手からも積極的に話を聞いて自分の投げ方をもう一度、見直した。現役時代に左肩のリハビリを経験したことのある松永昂大育成投手コーチ兼2軍投手コーチからも話を聞き、参考にした。貪欲な日々で来るべき復活の日に備えた。
□ ■ □
「今はいい感じ。めどは立っている。今年一年でちょっと強くなれたかなと思います。来年はもう一度、レギュラーを獲りたい。チームの柱となるような働きをしたい。チームの誰よりも結果を出すつもりで挑みます」と高部は力強く来季の意気込みを語る。
2023シーズンを2位で終えたマリーンズ。リーグ3連覇を果たした王者バファローズを倒し、悲願のリーグ優勝を達成するためには打って走って守れる高部の完全復活は欠かせない。1軍のグラウンドでプレーをすることに飢えた男が来シーズンはマリーンズの勝利のために大暴れをしてくれそうだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)