精神疾患を抱える男が独房内で餓死 刑務所が遺族に10億円支払い和解成立

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アメリカの刑務所に収監されていた男が死亡。遺族が賠償を求める訴訟を起こしていたが、刑務所側と和解が成立した。『Guardian』『IndyStar』などが伝えている。

2021年7月20日、インディアナ州在住の男(29)の住むアパートに、救急隊が駆け付けた。
アパートの管理人が、男の母親から「息子と連絡が取れない」と連絡を受けて男の部屋に入った。すると床に裸のまま座り、支離滅裂な言葉を発する男を発見して、救急車を呼んだそうだ。
男は、薬物依存症により長年にわたってメンタルヘルスに問題を抱えていた。過去に統合失調症と診断されて、精神病院に入院していた時期もあるが、ここ数年は症状が落ち着いて社会復帰していたという。

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男は病院に搬送され、今度は警察が呼ばれた。搬送直後に声をかけた看護師の髪を引っ張るなど、暴力を振るったからだ。のちの裁判で、メタンフェタミンの摂取による心神喪失状態だったと明かされている。
男は駆け付けた警察に逮捕され、そのまま刑務所に移送された。刑務官らは男を独房に入れた後で服を着せようとしたが、激しく抵抗されたため諦めたという。
こうして男は、裸のまま独房で過ごすことに。他にも、運ばれてきた食事に手をつけずに床にぶちまける、排泄をその場で行うなどの問題行動が見られた。

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刑務所の職員らは、そうした男の様子を気に留めることなく放置した。清掃や入浴のため4~5日ごとに外に出されることはあったが、独房内は劣悪な環境だった。
そして収監から20日後に男が動かなくなり、気付いた職員が救急車を呼んで病院に搬送された。しかし治療の甲斐なく、死亡が確認された。
司法解剖の結果、男の死因は、脱水症状および栄養失調が重なったことによる多臓器不全と判明。水も食事もとらなかったことで、逮捕時に90キロあった体重は20日間で20キロ減少し、70キロになっていたのだ。

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遺族は医療ケアが必要な男を放置したことが死につながったと考え、2023年4月12日に刑務所に対し、慰謝料などを求める訴訟を起こした。
その後に複数回の審理が行われ、最近になって和解が成立。刑務所側が約10億円を男の遺族に支払うことで、合意に至ったという。
男の母親は昨年亡くなっており、唯一の親族である叔母は「刑務所の環境に警鐘を鳴らしたかった。それが亡くなった姉の願いでもありました」「甥への対応はひどいもので、(この判決で)同じ苦しみを持つ家族の助けになれたらと思います」と、各社の取材に答えている。