どこまで本気で無差別大量殺人を実行するつもりだったのか──。
今月3日夜、京都市東山区のマンションで住人の無職、岡田好次郎さん(82)がメッタ刺しにされ、殺害された事件。府警捜査1課に殺人容疑で逮捕された陸上自衛官の水島千翔容疑者(21)は「(岡田さんと)面識はなく、誰でもよかった。今回逮捕されなければ、また人を殺すつもりだった」と供述しているという。
水島容疑者は3日午後7時55分ごろ、4階建てのマンションの前で帰宅した岡田さんの姿を見つけると、外付けの階段を上って追いかけ、2階と3階の踊り場付近で、岡田さんの背中を持っていた刃物で複数回、ブスッブスッと突き刺し、失血死させた。
刺し傷の一部は、心臓や肺まで達しており、強い殺意があったとみられる。岡田さんの遺体には抵抗した際にできる防御創はなく、一瞬にして殺害されたようだ。
犯行後、水島容疑者は階段を下りると、そのまま北に向かって歩いていった。岡田さんの部屋は無施錠だったが、室内に荒らされた形跡はなく、現金数万円が入った財布はそのまま残されていた。水島容疑者が岡田さんに狙いを定めてから現場を立ち去るまで、わずか10~15分の出来事だった。
水島容疑者は今月2日午前8時から4日午前0時まで勤務先の祝園分屯地に外出許可を申請。凶器となった刃渡り十数センチの文化包丁を居住していた祝園分屯地から持ち出し、リュックにしのばせていたことから、事前に休暇を利用して殺害計画を立てたとみられる。その上で「(相手に)反撃される可能性があるので、大柄な男性以外を狙った」とも話しており、確実に殺害できる相手を探していたのだろう。そこに現れたのが、岡田さんだった。
「岡田さんは事件直前まで外出していて、自宅から徒歩5分ほどのバス停で下車。ビニール傘を杖代わりにして、1人でマンションまで歩いて帰る姿が付近の防犯カメラに写っていた。映像には他に誰も写っていなかったことから、2人はマンションの前で偶然出くわし、水島容疑者が相手の体形を確認。岡田さんならいけると判断して、場当たり的な犯行に及んだ可能性も考えられる」(捜査事情通)
■新幹線で逃亡の大胆
水島容疑者は電車や新幹線を利用して上京。事件から1週間後の10日、東京・新橋の宿泊施設で身柄を捜査員に確保された。無差別殺人をほのめかしながら人目を避けることもなく東京まで逃亡し、宿泊施設に潜伏とは、あまりにも大胆。行き当たりばったりな犯行だった。
何の躊躇もなく、罪のない人間を巻き添えにする。こんな身勝手な自衛官と家の前で出くわしたばかりに、命を奪われた岡田さんが気の毒でならない。