〈藤沢・2歳児傷害致死〉出産前後もパチンコ店にいりびたっていた27歳キャバ嬢は今…。児相対応の検証結果も公表「新型コロナ感染拡大で面会ができず…」

今年2月、神奈川県藤沢市で、まだ2歳だった息子の頭部に暴行を加えて死亡させたとして、母親の田代芽衣被告(27)が傷害致死の疑いで逮捕された。また3月には、息子の死亡前にも体を蹴るなどしていたとして、暴行容疑で再逮捕されている。県警によると、田代被告は「私はやっていない」といずれの容疑についても否認していたという。男児は事件のひと月前まで児童相談所が保護していたため、児童相談所の対応についても外部有識者委員会が検証し、11月21日に検証の報告書が公表された。
田代被告は2022年4月22日ごろ、自宅で息子の空来(そら)ちゃん(当時2歳)の頭に暴行を加え、翌23日になって119番通報し、空来ちゃんは病院に運ばれたが、頭部打撲による頭蓋内損傷で死亡が確認された。死因などから不信感を抱いた病院が警察に通報して捜査が始まり、今年2月21日に傷害致死の疑いで田代被告が逮捕された。近隣住民が当時の様子を振り返りながら安堵の息を漏らす。「母親が逮捕される半年ほど前から、警察に捜査の協力をお願いされて、うちの庭にカメラを置いてたんです。それから私たちも母親の行動が気になって見てましたが、今思えば息子を死なせたのに平気で暮らしてて怖かったですよ。逮捕されてまもなく、カメラを外しにきた警察に『もう母親はここに帰ってこないのか』と聞いたら『戻ることはないでしょう』ということでした。翌月くらいには部屋の片付けもされてたみたいで、今は空家なのでひと安心です」
田代芽衣被告(本人Facebookより)
田代被告はその後の調べで、2022年4月8日にも空来ちゃんに暴行を加えていたとして、暴行容疑で今年3月13日に再逮捕されている。起訴状によると、自宅で空来ちゃんの右手首付近を左手で掴んで持ち上げ、下腹部付近を右足で蹴る暴行を加えたとされるが、田代被告は逮捕時には傷害致死、暴行のいずれについても否認している。「空来ちゃんの遺体には複数のアザがあり、日常的に虐待を受けていた可能性があった。また、田代被告は空来ちゃんの妊娠時に一度も検診を受けておらず、出産前から要注意人物としてマークされており、空来ちゃんは出産後すぐに児相に一時保護されていた。昨年3月末に空来ちゃんの保護は解かれたが、事件発生に伴い児相の対応にも検証が必要とされ、外部有識者委員会により今年11月21日に結果が公表された。初公判は来年に検討されているようだ」(社会部記者)
外部有識者委員会の報告書によると、2022年4月1日に乳児院職員が家庭訪問した際、退所翌日にもかかわらず空来ちゃんの顔にアザができていたが、その様子が児相の援助方針会議で共有されていなかった点を指摘し、「乳児院からの連絡を通告と同様に捉え、児童相談所として対応を直ちに判断する必要があった」としている。また家庭訪問後、事件発生までのおよそ3週間、新型コロナが感染拡大する中で、発熱を理由に田代被告が面会を断り続けていたということで、児相が面会できなかった点を指摘し「感染対策を講じた上で、アポイント無しによる家庭訪問を実施するなど、児童相談所として本児の安全を確認するため、最大限の努力をする必要があった」と課題点を挙げた。
パートナーと誕生日を祝う田代被告(本人Facebookより)
今回の事件を踏まえ、保護児童の家庭引き取りにおける支援体制について「子供に起き得るリスクについて、児童相談所の再介入の必要性を判断するための基準を設け、対応手順や関係機関との役割分担等を確認しておく必要がある」と提言した。また、外部有識者委員会の荒木田美香子委員長(川崎市立看護大副学長)は、検証での会合の様子をこう語った。「報告書を読んでいただくとわかると思いますが、今回の件において、児童相談所も慎重に家庭引き取りを進め、一生懸命支援していたのがわかります。しかし、改めて不十分な箇所も見えたところがあり、真摯に向き合っていた分、児童相談所も深く反省していたように思いました」
これまで集英社オンラインでは空来ちゃんの家庭引き取りに関する児相の対応や、田代被告のネグレクトぶりについても報じてきた(#1、#2、#3)空来ちゃんが田代被告に引き取られた2022年4月ごろ、同じマンションに住む女性住民は、異変を感じていたとしてこう語っていた。「去年の4月ごろ、母親の叱るような怒鳴り声と子どもの泣き叫ぶ声は聞いたことがあります。子どもは時間に関係なくしょっちゅう泣いてました。怒鳴る声が聞こえたのは昼間ですかね。30分ぐらい泣き止まない子どもに対して『うるさい!』とか『泣くな!』という怒声が聞こえました。後日警察の方に子どもへの虐待のことを聞かれたので、ネグレクトでちゃんと育児をせず、怒鳴っていたんだと腑に落ちた記憶があります」
田代被告(本人Facebookより)
また空来ちゃんの出産前後には、病院で検診を受けていないにもかかわらず、たびたびパチンコ店で目撃されていた。パチンコ店の関係者が語る。「田代被告はほぼ毎日パチンコを打ちに来てましたよ。お腹の大きい妊婦さんのときから来ていて、しばらく見ないと思ったらお腹がぺちゃんこになってたんです。時期的に空来ちゃんを産んだ時期で、出産後もほぼ毎日来ていて、いつ子育てしてるんだろうって疑問でした」だらしのない生活の一部を物語るエピソードとして「ベランダには生ゴミが放置されウジがわいていた」といった友人の証言もあった。一時は児相から息子を引き取る母親の姿勢を見せたが、ネグレクトと虐待を繰り返してしまった田代被告。我が子の命を奪ってしまった罪はどう償われていくのだろうか。公判が待たれる。
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