登別明日中教校演劇部が「挑戦的劇中劇」で全道中学最優秀賞…みんなでやろうトライ報知

11月に札幌市で開催された「北海道中学生演劇発表大会」で、登別明日中等教育学校の演劇部が8年ぶり3度目となる最優秀賞を獲得。来年8月に山口県で開かれる全国発表会への切符をつかんだ。寺沢英幸顧問(43)の下、演出、舞台スタッフ、役者の各部門が一致団結。抜群のチームワークで伝統をつないだ。
登別明日中教校の前期(中学生に相当)演劇部には、華やいだ雰囲気が満ちている。「先輩、後輩の垣根なく、みんなで仲良く演劇に取り組んでいます」とまとめ役の春日ひなの部長(3年)。部員16人がそれぞれの役割を楽しみ、全員が“主役”となって大きな結果も生み出した。
全道中学生発表会で披露した作品は「劇薬―ゲキヤク―」。高校の演劇部を舞台に、人間の愛や苦悩、喜怒哀楽を表現した。脚本を手掛けた寺沢顧問の意をくみ取って、“挑戦的な劇中劇”を好演。脚本のユニークさ、役者の技量、演出の工夫、スタッフワークなど総合力が認められて最優秀賞を手にした。
様々な思いを詰め込んだステージだった。現3年生の1年時はコロナ禍で参加を自粛し、昨年も発表会直前にコロナの影響で参加を辞退。今年もインフルエンザなどで部員がそろわない日があったが、本番に向けて体調を整え、不安を乗り越えて無念を晴らした。
演出担当の佐藤花音さん(3年)が「どんな演技をすれば引きつけられるかなど、キャストの信頼も得ながら頭を働かせなければならない」と話す通り、それぞれの役割に難しさがある。だが、後期(高校生に相当)演劇部の先輩が助言してくれることもあり、中高一貫校の強みを生かしている。
来年8月の全国発表会は現1、2年生で作り上げていくが、3月には全員での地元公演を控える。寺沢顧問は「生徒の豊かな発想力や自主性を大切にしながら、ミュージカルや現代劇など色々なジャンルに挑戦したい」と話し、伝統を守りながら“明日”を切り開いていく。(石井 睦)
〇…舞台スタッフも重要な存在だ。音響担当の鈴木ひとみさん(3年)は「様々な素材を集めて効果音を選んだり、役者の動きに合わせて発砲音を入れたり、音でも演劇に加わっていると実感できて、やりがいがある」と笑顔。照明担当の梅山叶愛さん(3年)は「失敗したこともある」と言うが、機材と向き合いながら、ともに小道具担当も兼ねてフル回転している。