新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行されてから初の忘年会シーズン。12月に入り、多くの飲食店が賑わいを見せている。前編では初めて職場での大規模な忘年会を経験した若者たちの感想を紹介したが、後編では40歳以上を対象に、久しぶりの忘年会で若者と交流した“おじさんたちの声”を詳報する。
新型コロナウイルスの流行もあり、今年は久々に大規模な忘年会が行われたという職場が多いようだ。前編では「忘年会は仕事」「退勤後まで話が合わない上司と一緒にいたくない」という若者の声が多かったが、一方で40歳以上の世代はどのように感じているのだろうか。集英社オンラインでは、サラリーマンの聖地・新橋にて、久しぶりに忘年会をしたという40歳以上のサラリーマン50人を対象に、その感想をアンケート調査。果たして忘年会を知らない若者たちと“飲みニケーション”は図れたのだろうか。
新橋駅前(撮影/集英社オンライン)
「若い子たちの仕事への本音や悩みなどをいろいろ聞けてアドバイスもできたと思うし、彼らがちょっとハメを外した姿も見れたのもうれしかったですね。紅白の予習として“あのちゃん”とか“新しい学校のリーダーズ”の説明してもらいましたよ。流行りものもこういう機会がないと聞いたりできないし、自分としても知識が広がった気がしたんで忘年会は大切だなと思いました」(46歳男性・営業)「若い子はお酒が入るとプライベートの話なんかも気軽にできるみたいで、今の彼女はこんな人とか、学生のときはこんなだったとか聞かせてくれたり、写真も見せてくれて、ここ数年縮められなかった距離を一気に詰められた気がします。一緒に仕事してるだけじゃわからないキャラというか、おもしろい一面も見れて楽しかったですね」(48歳男性・教師)「ふだん、顔は合わせても挨拶だけの子たちとちゃんと話す機会ができたし、とくに新人女性社員との会話って最近はセクハラの定義が広いから難しいじゃないですか。そこの擦り合わせもできたので、今後も接しやすくなった気がします。会社での人間関係をよくするためにも忘年会は有意義だなと、あらためて感じました」(51歳男性・管理職)一方で、忘年会慣れしていない若者に物足りなさを感じてしまったという回答も多かった。
新橋駅にて取材に応じるサラリーマン(撮影/集英社オンライン)
「今の若い子たちはお酒の注文を取ったり、料理を取り分けたりしないし、気を遣えない人が多いなって思いましたね。こちらから『注文取ってもらっていい?』と言ったら、少しずつやってくれるようにはなりましたけどね。コミュニケーションをとるチャンスでもあるのに、ちょっともったいないなと思いました」(42歳男性・営業)「かなり驚いたのは若い子がみんな1次会で帰ってしまったことですね。2次会に誘ってはみたものの、『明日に響く』とか『終電で帰りたい』って断られちゃって…。だいたい2次会のほうが深い話ができたり盛り上がるもんなのにね。そこでおもしろいやつだと思われたら、この先もいろんな誘いとかがあるだろうし、得だと思うんですけどね」(45歳男性・営業)「若者が積極的に上司に話しかけにいったり、瓶ビールを持ってみんなに注ぎながら席まわるとか、そういう光景が見られなかったのはちょっと残念でした」(41歳男性・公務員)
しばらく開催されていなかったことから、そもそも社内の大規模な忘年会に「必要性を感じなくなっている」という声は、若者だけでなく、おじさんからも聞かれた。「初めて会社の若い子とお酒を飲んだんですけど、話が合わないし愛想笑いされているのがすごくわかってしまって、忘年会って本当に必要なのかなと思いました。ここ数年なくても会社は回ってたわけだし、無理にみんなを集める必要はないのかもしれないですね」(54歳男性・管理職)
新橋駅にて取材に応じるサラリーマン(撮影/集英社オンライン)
「もともと忘年会は仕事として割り切って参加してたんですけど、そもそも繁忙期に行われるのも謎だし、翌日にお酒が残ったら仕事の効率悪くなるしで、全然いいことないんですよね。会社内でも同意見の人は多かったですよ。会社の勤務形態もコロナで大きく変わりましたから、忘年会もそのうち、好きな人だけが参加するとかして衰退していくと思います」(40歳男性・システムエンジニア)アフターコロナ時代における忘年会の在り方は今後どう変化していくのだろうか。
取材・文 集英社オンライン編集部ニュース班