「あれだけ総理になりたい人がカネと女でつまずくなんて…」黒ビキニ秘書とコネティング外遊報道に架空パーティ? “疑惑噴出”西村前経産相の八方ふさがり

政治資金パーティー券のキックバックによる裏金疑惑で、家宅捜索を受けた安倍派の事務総長経験者のうちの一人、西村康稔前経産相が窮地に立たされている。事務総長として組織的な裏金づくりに関与していたのではないかという疑惑に加え、週刊文春では「架空パ-ティー」疑惑や、出張先で女性秘書官とコネクティングルームに泊まっていたという疑惑も報じられた。西村氏をめぐる問題がここぞとばかりに報じられる背景には、これまでの永田町・霞が関での“嫌われっぷり”もあるようだ。
「突然、西村経産大臣の秘書となりました。彼女の経歴を知った上で採用しているのでしょうか」西村氏の秘書を務める女性に関する、こんな怪文書が永田町関係者に届いたのは、12月中旬のこと。怪文書には、女性秘書がSNSにアップしたとみられる、黒ビキニを着た写真や露出度の高いコスプレ風写真が載っており、女性の経歴やプライベートを問題視する内容が書かれていた。
永田町で出まわった西村氏に関する怪文書…
12月21日発売の週刊文春は、この女性が政治家の秘書経験がないのに、西村氏の事務所の秘書にとどまらず大臣秘書官も務めていたこと、西村氏の出張では隣部屋同士の内部で行き来できるコネクティングルームに宿泊していたことなどを報じた。経産官僚があきれる。「この女性の前任の秘書官は、よく西村氏のレクにも出席していました。前任者は西村氏と経産省時代に同期だった官僚ですが、西村氏の度重なるパワハラなどに耐えかねたのか、いつの間にか退任。その後任になった女性秘書官は、大臣室で見かけたこともないですね。秘書官に就けたとはいえ、仕事らしい仕事はしていなかったのではないでしょうか。総理になりたい割には、カネと女でつまずくなんて、わきが甘いですね」西村氏をめぐってはこれまで、「出張でたくさんのお土産を購入するために荷物持ち人員が必要」、「保冷剤の購入が必要」などと細かく記された経産省内の“取説マニュアル”の存在が報じられたこともあった。「あの騒動の後、西村氏に関する不都合な情報がメディアに出ないよう、省内で統制が厳しくなりました。西村氏本人もこれまでパワハラや秘書の大量退職が報じられてきたこともあり、自身の評判を気にして、パワハラ的言動は少し抑えるようになった印象はあります。それでも、大臣を辞めたと同時にこれだけ疑惑が書かれるのは、省内外に西村氏を嫌っている人が多いからでしょう」(前出の経産官僚)
パーティー券問題で大臣を辞任することになった西村氏(本人facebookより)
実際に、西村氏については「24時に『急ぎません。朝までに仕上げてください』とメールを送ってきて、徹夜での書類作成を余儀なくされた」(中央省庁の官僚)、「パワハラに嫌気がさした秘書たちが一斉退職し、それに激怒する怒鳴り声が廊下に響き渡っていた」(永田町関係者)など、パワハラとも思えるエピソードには事欠かない。
そんな西村氏だが、周囲の議員への気遣いだけは欠かさなかったようで、毎年夏前、地元・淡路島の玉ねぎをいっぱいに詰めた段ボールを国会議員会館の各事務所に配ることを慣例としてきた。それが、今年は様子が違っていたという。「前年に、政治資金で大量のたまねぎを購入して配っていたと報じられたことを気にしたのか、今年はスーパーに売っているような、ネットに入った玉ねぎが3個だけ各事務所に贈られていました。3個だけ送られても、事務所のスタッフで分け合うにも足りないと、秘書さんたちが困っていました」(全国紙政治部記者)数を激減させてでも玉ねぎを配りたかったのは、自身の今後のためだ。「西村氏は、『Hanada』の2024年2月号で、総理をめざす上で岸田氏と違うところを問われ、『いわゆる二世ではなく(中略)苦労しながら、政治家として、地元の方々の支援を得てここまできました』『官僚の経験。行政組織がどういう力学で動くのか、身をもって体験しています』とアピールし、永田町の失笑を買っています。もともと西村氏は車のナンバーを『2025年までに総理になる』という決意を込めて『2025』にするほど、総理の座への執念が強い。そのためにも、仲間づくりは大切。自公だけでなく、自身の地元・兵庫県でも勢力を伸ばしている維新の議員事務所にも玉ねぎを配っていました」(自民党関係者)
西村氏(本人facebookより)
そんな努力もむなしく、首相になりたかった2025年を目前に政治生命が脅かされるほどの疑惑の渦中にいる西村氏。ただでさえ、パーティー券問題が発覚する前から地元・明石市では、全国的な知名度を誇る泉房穂前市長の衆院選立候補が取りざたされ、「泉氏に負ければ、総理どころか安倍派会長にもなれない」(自民党関係者)とささやかれてきた。さらにここに来て、同じ安倍派で期数が近く、ライバル視してきた萩生田光一政調会長との立ち位置に微妙な差も出てきた。
萩生田氏(本人facebookより)
「派閥からのキックバックを受けていたと報じられている萩生田氏ですが、ここ5年間の事務総長経験者には入っていません。組織的な裏金づくりに関わっていた可能性が取りざたされる西村氏に比べ、傷は浅いかもしれません。さらに今回の裏金騒動で政調会長から更迭されそうになったときに『出処進退は自分で決めたい』と岸田総理に辞表を提出したことも、『安倍派一掃を画策した総理に反旗を翻した』と受け止められ、安倍派内で評価されています。これまでは西村氏と萩生田氏のどちらかが突出するのはよくないと集団指導体制がとられてきた安倍派ですが、今後は萩生田氏が派閥の軸となっていく可能性があります」(自民党関係者)来年の夏前、西村氏に玉ねぎを贈っている余裕はあるのだろうか。