「心の病」を理由に休職した教員が過去最多となった。学校現場の疲弊を映し出すもので、極めて深刻な事態だ。 文部科学省の調査によると、2022年度、精神疾患で休職した県内の公立小中高校と特別支援学校の教員は229人に上り、過去最多を更新した。 全国も過去最多を更新しているが、県内はその割合が1・45%(およそ70人に1人)と、全国平均の約2倍に当たる。同省が公表を始めた18年度以降、全国一高い状況が続いている。 休職者の増加に現場の危機感は強く、「みんなで共倒れになる」「若い人にとって教師は魅力ある職でなくなっている」など切羽詰まった声が聞こえる。 ストレスの要因とされるのが、業務の多忙化、要望や苦情といった保護者対応だ。 県の担当者は、新型コロナウイルス禍を経た教育活動の変化に言及する。 学校現場では感染予防対策のほか、デジタル端末を使った新たな課題への対応などで負担が増えた。教員同士のコミュニケーションの質の変化も挙げられる。 さらに県内では子どもの貧困を背景にした課題や、増加する不登校児童生徒への対応など、より丁寧な指導が求められるケースも少なくない。 これら複数の要因が重なり、追い込まれ、心身をむしばまれたということなのだろう。 メンタルヘルス(心の健康)を保つ有効な対策を示すためにも、まずは原因分析など詳細な実態調査が求められる。■ ■ 休職者の増加に、県も手をこまねいているわけではない。 県教育庁は4月に特命課として「働き方改革推進課」を設置。業務量軽減などの改革に本腰を入れる。 「潜在教員」の掘り起こしや受験年齢の上限引き上げ、採用試験の複数回実施などの対策も矢継ぎ早に打ち出した。 メンタルヘルスに関しては、文科省の補助金を得て県と那覇市が効果的な方策を探る事業に共同で取り組んでいる。オンライン相談窓口の設置や復職プログラムの見直しなどが進む。 早い段階で支援の手を差し伸べる相談体制の整備は急務だ。円滑に職場復帰が果たせるよう段階を踏んだ復職支援も欠かせない。 得られた知見や成果を県全体で共有し、対策に生かしたい。■ ■ 教員不足が教育現場へ深刻な影響をもたらした1年でもあった。 学級担任が確保できず、やむなく「学級統合」が行われたり、少人数学級が実施できなくなったり…。 11月時点で県内公立校の教員未配置は104人を数える。 やはり必要なのは、教員を増やして仕事量を減らすという働き方改革であり、そのスピードアップだ。 教育という仕事へのやりがいと志が持続するよう、教員が子どもたちにしっかり向き合える環境をつくらなければならない。