老舗しょうゆ会社直営 タレの「プロ」作るコク深スープ 富士虎屋(山武市)【房総ラーメン図鑑】(1)

山武市富田のしょうゆ醸造会社「大高醤油」(大高衛社長)の本社敷地内。工場からしょうゆの香りが漂う中で、木・金曜日の昼のみ、のれんを掲げる直営のラーメン店がある。同社製品をスープやチャーシューに使用し、看板商品は二段仕込みしょうゆを使った「富士虎(黒)」。香ばしい匂いと、深くまろやかなコクが同時に楽しめる。
1804(文化元)年に創業した老舗。2022年12月、ラーメンを通じて自社製品を消費者にアピールしようと店をオープンした。店舗は新型コロナ感染拡大の影響で閉店した直営のレストラン跡地を利用。同社営業部で店舗責任者の鈴木勝己さん(50)は「日本人になじみが深く、しょうゆにクローズアップできるラーメンを通じて製品の良さを伝えようと思った」と開店意図を説明する。
県内外のラーメン店からスープのタレである「かえし」を受注し生産しているタレの「プロ」。そのしょうゆ醸造会社が自らラーメンを作るユニークな取り組みは次第に口コミで知れ渡り、開店から1年程度が経過した現在は茨城県など県外から訪れる客も多い。
提供するラーメンのスープは2種類。製造過程を2度繰り返してまろやかな味が特徴である二段仕込みしょうゆを使った「富士虎(黒)」のスープは透明度のある黒色で、しょうゆのコクが存分に味わえる。薄口しょうゆと魚介ダシを使用した「富士虎(白)」のスープは澄んだ薄茶色。具材のチャーシューは同社のタレで味付けし、口に入れた瞬間ホロホロと崩れる。
昨年12月に印西市で開催されたラーメンフェスタで出店した際は、用意した160食が約2時間半で売り切れるほどの人気ぶりだった。「話題になるのはありがたい」とほほえむ鈴木さんは「こだわりを持って作ったしょうゆラーメンをぜひ味わってほしい」と呼びかけた。
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寒さが身にしみ、熱々のラーメンが恋しくなる季節。県内各支局や本社の記者が地域の名店を紹介する。正月料理に満足したら、訪れてみては。
◆メモ
◇住所=山武市富田540
◇営業時間=木・金曜日の午前11時開店、ラストオーダーは午後2時
◇問い合わせ=(電話)0475(82)5581