もし災害派遣の護衛艦に乗り遅れたら… だから“1時間半前”行動!? 過去には「ヘリで来た」ことも

海上自衛隊で仕事に遅刻すると、「後発航期」と呼ばれるペナルティが付くそう。場合によっては停職処分になるほど重いそうですが、任務の重大さを知るとしょうがないかも。状況によっては、ヘリで送り届けられることもあるそうです。
2024年の元日に発生した「令和6年能登半島地震」。突如起きた大地震に対し、防衛省・自衛隊は約1万人態勢で人命救助活動などにあたっています。 海上自衛隊も、発災後ただちにP-1哨戒機やP-3C哨戒機などが被災地の上空偵察を行うために飛び立ったほか、日本海側にある京都府の舞鶴基地から護衛艦や多用途支援艦、ヘリコプターなどが緊急出動しており、さらに広島県の呉基地からも輸送艦「おおすみ」が重機などを輸送するために出港しています。
実は、海上自衛隊では災害派遣などに備えて、全国に5つある地方総監部ごとに1隻ずつ対応艦艇を用意し、待機させるようにしています。そのため、当該艦艇に指定された船の乗員は、いつでも対応できるようにしておくことが求められます。
そのため、基本的には緊急出港がかかった艦艇に乗り遅れるなど、まずありえないそうですが、もしそうなってしまったらどうするのでしょうか。
もし災害派遣の護衛艦に乗り遅れたら… だから“1時間半前”行…の画像はこちら >>令和6年能登半島地震が起き、呉基地を出港する海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」(画像:海上自衛隊)。
こういったときは、あとから出港する別の艦艇に乗せてもらい、その後「内火艇」と呼ばれる小型の搭載艇で自艦へ運ばれることもあるとか。なお、それ以外だと寄港地で合流するか、もしくは陸上部隊である補充部などで一時的に待機といったこともあるそうです。
ただ、このようにして駆けつけるのは、やむを得ない事情の場合に限られます。原則、平時の遅刻は厳禁。遅刻は艦艇への乗り遅れを表す「後発航期」と呼ばれ、理由次第では懲戒処分、場合によっては停職にまでなることもあるのだといいます。
ちなみに後発航期ではなく、出港中の艦艇に対して転勤する幹部が稀にいるのですが、その場合はヘリコプターで乗り付ける例もあります。ただ、これはよほどの事例だとか。「チャリで来た」ならぬ「ヘリで来た」はかなりレアですね。
ちなみに海上自衛官の場合、基地へ4時間以内で戻れない遠方へ外出する場合は「区域外申請」というのを行く前に必ず出す必要があります。
とはいえ、今回のような災害派遣時などの緊急出港は、それよりも短い時間で出ることが多いので、例えば少し遠出した時に大地震が起きた場合、自艦の出港に間に合わなければ陸上部隊で待機となります。
ただし、この場合も、あらゆる交通手段を使い基地(港)には出向く必要があります。家族としても災害時のシミュレーションは頭の隅に置いているので、遠出をする場合は少し緊張することも。
なお、艦艇ではなく陸上部隊の勤務者ならもう少し緩いのかというと、そこはあまり変わらないとのことでした。
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令和6年能登半島地震が起き、京都府の舞鶴基地を緊急出港する海上自衛隊の多用途支援艦「ひうち」(画像:海上自衛隊舞鶴地方総監部)。
だからか、海上自衛官の夫であるやこさんは2023年12月現在、艦艇を降りて陸上部隊で勤務しているのですが、0745(午前7時45分)が帰艦(出勤)時刻だとしたら、なんと1時間半前には部隊に着いているとのこと。5分前行動が海自のルールですが、それにしても早すぎでは……。
民間企業ではこれらの行動は「前残業」と呼ばれ、最近ではよろしくない文化になりつつありますが、自衛隊は特別国家公務員のため当てはまらないんですかね。
そんな遅刻に厳しい海上自衛隊。私もやこさんの話を聞いて、1時間半前はさすがに無理ですが、せめて30分前行動をしようかなと気持ちを改めたのでした。