南海トラフ巨大地震が起きたらどうなる 揺れや津波の地図シミュレーションで見える危険 名古屋大学減災館

能登半島地震では、津波による甚大な被害がありました。では、名古屋市に津波が来たらどうなるのでしょうか。地震への備えについて考えるきっかけとなる施設、名古屋大学減災館(げんさいかん)で11日、専門家に聞きました。
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名古屋市千種区の名古屋大学減災館。2階から下を覗くと1階に地図が見えます。(永岡歩アナウンサー)先生、こちらの地図は?(名古屋大学減災連携研究センター 飛田潤センター長)はい。名古屋市周辺の6,000分の1の地図を1階に置いてあります。
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名古屋市中心部
(永岡アナウンサー)はい。この地図で、地震における影響を実際に確認することができるということなんですね。まずこちらが予想される南海トラフ巨大地震の震度ですか。
赤が震度7 オレンジが6強
(飛田センター長)そうですね。震度の分布を表したハザードマップになります。(永岡アナウンサー)ちょうどこの辺が名古屋市中心部で、名古屋城ですね。それから少し北西に名古屋駅、そのすぐ東が栄ですね。はいこれでご覧いただきますと特に南の方、名古屋市の港区の方で震度7の赤、それから西の西部の方は全面に震度6強のオレンジ色、はい。東の方に行くと少し低くはなりますが、震度6弱の黄色というような形で揺れの分布が出てきてます。
赤が震度7 オレンジが6強
(永岡アナウンサー)名古屋市は東と西でかなり揺れが変わってきますね。
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(飛田センター長)そうですね。それはやはり地盤の影響が大きいと思います。続いて名古屋市内の標高の分布ですね。青いところが低いところで、特に濃い青のところは海抜0m地帯というところで、名古屋市の中心部から西の方は大体青くて、中心部、名古屋城の付近は黄緑色、少し高くなっています。それからもっと東の方に行くとより高い黄色になります。
標高の分布 青が低い地域
(永岡アナウンサー)名古屋駅と栄の中心部でもかなり高さは変わってくる。先ほどの震度を見たところでも、やはり東と西にわかれて青いところが、地震の震度はかなり大きな揺れになるという予想が出ていましたね。(飛田センター長)いずれも震度6ですけれども、やはり比較的西の方が揺れが大きくなりやすいということですね。地盤、さらには高さの影響は出てきます。
上部の〇印が名古屋城付近 市内西部より高い場所にある
(永岡アナウンサー)南海トラフ巨大地震における津波、その影響がどのように出てくるのか、この地図をもとにご覧いただきたいと思います。
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(飛田センター長)これは南海トラフ地震の津波の様子をシミュレーションしたものですが、最悪の想定ということで、堤防は、揺れでかなり被害を受けるという前提ですので、低いところにはまず水が入ってくる。その上で川をさかのぼることなり、徐々に津波が到達して、今1時間を過ぎ、少し過ぎたところですね。
地震から1時間を過ぎた時点
(飛田センター長)地震発生後の時刻が数字で表されていますが、1時間から1時間半ぐらいで、どんどん水が入ってきました。(永岡アナウンサー)この辺り、名古屋港の辺りにじわっと出てきたのがこれが津波が到達した。大体地震発生から2時間後にこの港区の辺りには津波が届くという予想が出ているということですね。
約2時間後
(飛田センター長)はい。実際はもう少し早いこともあると思いますが、こうやってどんどん広がっていくということになります。
(永岡アナウンサー)名古屋市港区は、3時間も経ちますと大きな影響が出ますね。(飛田センター長)そうですね。ご存知のように、港区の付近はは平らな地盤になりますので、避難、津波の避難ということになると高いところがあまりないですから、避難する先まで、相当遠いということもありまして、こういったことは非常に影響が大きいですね。
約3時間後
(永岡アナウンサー)家が倒れている、道がガタついている、ゆっくり逃げようと思っている時間はないですね。(飛田センター長)そうですね。やっぱり時間は大切。「揺れたらすぐ避難」ということが大切になりますが、遠いところではなく高いところ。この辺は高い地形がないので、津波避難ビルといったような避難するところが、かなりたくさん準備されています。
このように、この減災館では地震を身近に感じることができ、さらにその防災意識を強く持つことができます。先生改めて、今皆さんがどういったことを考えるのが大事でしょうか?
CBC
(飛田センター長)まず一つ津波について申し上げると、南海トラフ地震の「臨時情報」ということを意識していただきたいです。これは南海トラフ地震は非常に大きいので、起こり方も様々で、一部が先に起こるということもある。その後に、残りが動くということがあるので、そのときにまた、津波が来る可能性がありますから、こういう臨時情報を得て、事前避難をするということも必要なることがある。これは今、名古屋市でも、それから愛知県の自治体でも情報を出してますので、確実にご覧いただきたい。
約6時間後
その上で、先ほどのように場所によって被害が違いますから、ハザードマップのような、市町村が出している情報をきちんとご覧いただいて、ご自分のいらっしゃる場所の特性、それから被害の特性、そういったものに関してよく理解していただいて、事前の対応と、それが起こったときの素早い行動といったものを改めて確認いただければいいと思います。
〇 南海トラフ地震臨時情報南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合や、地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合に気象庁から発表される情報で、南海トラフ巨大地震につながる可能性があるのかどうか調査を始めたことなどを伝えるもの。
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【名古屋大学減災館】(名古屋市千種区不老町)開館:午後1時~4時(入場は3時半まで)。無料(5人以上は要予約)休館日:日、月、火、最終土曜、祝日、年末年始、年度末・始、お盆(原則)