パラサーフィン池上選手(いすみ) 世界大会V熊谷知事に報告 「次は全日本」頂点狙う

米カリフォルニアで昨年11月に行われた世界パラサーフィン選手権で初優勝を飾った池上凪(なぎさ)選手(32)=いすみ市在住=が県庁を訪れ、熊谷俊人知事に快挙を報告した。池上選手は「表彰式で国歌が流れ感動した。次は(健常者と戦う)全日本選手権で優勝したい」と意欲。熊谷知事は「国内外の海で活躍して競技の裾野を広げてほしい」と期待した。
優勝したのは上肢に障害があるサーファーらを対象にしたクラス「WOMEN STAND1」。池上さんは2012年に交通事故で大けがを負い、切断は逃れたものの右腕に後遺障害がある。
浦安市出身で、サーフィンを始めたのはわずか5年前。サメに腕を奪われても活躍する実在の女性サーファーがモデルの映画を見たのがきっかけだった。事故の前にも重度の膠原(こうげん)病を発症。「2度も命を救ってもらった。なぜだろうと考えていた時期だった。私もサーフィンをしたら、同じようになれるかも」と踏み出した。
4歳から12歳まで3児の母でもある池上さんは、子育てや仕事の合間に地元の海で練習に励んでいる。これまで健常者の大会に出場してきたが、昨年、パラサーフィンの大会があることを知り初参戦。国内大会を制し、出場した世界選手権は「日本と違う地形で初めて乗る波だった。緊張したし、いつものライドができなかった」。それでも見事に優勝を飾った。
サーフィンとパラサーフィンの両方にエントリーする国内唯一の選手という池上さん。パラサーフィンは2028年のロサンゼルス・パラリンピックで追加競技として検討されており、出場に意欲をみせる。その前に目標に掲げるのが今夏の全日本選手権。「ぜひ優勝したい」と意気込んだ。
熊谷知事は「障害の有無にかかわらず、千葉の海でサーフィンを楽しむ機運を盛り上げていただいた。いい練習をして、いい状態で大会に臨んでほしい。楽しみにしている」とエールを送った。