書店の一角にひっそり集まる「真っ黒で不気味な本」、そこには秀逸な仕掛けがあって…

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東京・池袋にあるジュンク堂書店池袋本店。その3階特設コーナーに、真っ黒なパッケージに包まれた書籍が突如大量に登場し、来店者の注目を集めている。…なんかヤバい本ってこと?
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新刊書籍や雑誌が数多く並ぶ同店で、完全に異彩を放っている一角。そこには真っ黒な表紙に包まれた本が立ち並んでおり、本の側面には何やら怪しげな吹き出し型の付箋がつけられている。
「俺も、いつかは、死ぬんだな。」「とりあえず笑ってる。嫌われたくないから。」「あの人の、どこが、好きだったんだっけ。」「さびしぃなぁ。ぬくもりがほしいよぉ。」と、そのメッセージは本ごとに違い、じつにシュールな光景である。

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どの本も紐で閉じられており、立ち読みすることさえ叶わない。一体この本たちは何なのか──。
じつはこれすべて、文藝春秋から発刊されている純文学作品。同社がイチオシする20の作品を、あえて真っ黒なパッケージに包み、作品からインスピレーションを受けた“本音”だけを作品名の代わりに記載したものなのだ。
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来店客により本に対する興味を持ってもらうこの仕掛けは「本屋」ならぬ「本音屋」というプロジェクト名がつけられており、2日から29日まで同店及びハイブリッド型総合書店「honto」にて開催中。
通販サイトであるhontoでもタイトル名は完全に伏せられており、売り場で見た吹き出しの“本音”部分のみが説明されている。その言葉に興味、共感を覚えたとすれば、きっとその本はあなたにマッチするということだ。

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スマホの普及やSNSの浸透などで、読書離れがより一層進行している昨今。全世代の半数近くが「1か月の読書量がゼロ冊」という調査データもある。
そんな状況を少しでも改善せんと、もっと楽しく、そしてあれこれ想像を膨らませながら本と出会って欲しいというのが今回の取り組み。もちろん購入後、カバーを外せば“正体”が分かるのだが、本の話題性やタイトル、著者名に影響されることなく、本からにじみ出る“本音”だけで判断し、読書を始めるのもじつに面白い。