冬季の原発事故を想定し避難訓練「孤立集落にすぐ来てくれるのか…」複合災害時の避難に疑問の声も【新潟】

2月12日、冬の原発事故を想定した避難訓練が柏崎市と刈羽村で行われました。能登半島地震でも避難の課題が浮き彫りとなる中、参加した住民からは「安全に逃げられるのか」疑問の声もあがります。

柏崎刈羽原発の重大な事故の発生に備え、新潟県が行っている冬季訓練。

【記者リポート】
「今回の訓練では、倒木によって孤立した地域に行くために自衛隊がチェーンソーで倒木を切る作業から始まっています」

今年は雪の積もる中、地震により原発事故が発生した想定で行われ、午前は柏崎市で倒木により孤立した集落から、高齢者などの配慮が必要な住民を避難させる訓練を行いました。

自衛隊が道路の寸断を解消して集落へ向かうと、寝たきりの人や車いすの住民を搬送。住民は避難の手順を確認しますが、難しさも感じていました。

【参加した住民】
「車いすで移動させてもらったんだけど、下ろしてもらったり乗せてもらったりも大変だよね」

「大雪になったら、これが出来るのかなというのはありますね」

1月の能登半島地震では、石川県を中心に多くの集落が孤立したほか県内にも津波が到達。10日に柏崎市で開かれた津波避難に関する意見交換会では…

【住民】
「人の手を借りないと高いところへ上げられない患者さんも多い。放射能と津波と一気に来たらどうするんですか」

「(原子力災害で)一般的に豪雪の時に家の中とか建物の中に避難するというのがあるが、(放射能が)絶対に家の中に入ってくることがなんとなくわかる」

住民からは避難に関する課題のほか、大雪と原発事故など、複合災害に対する不安の声があがりました。

こうした中、刈羽村の訓練では大雪時の孤立集落を想定し、陸上自衛隊の大型雪上車を使い避難。住民は大型雪上車に乗り込み、孤立集落を脱出すると、バスに乗り換え避難先へと向かう手順を確認しました。

【参加した住民】
「いろいろな避難の引き出しを増やして、少しでも安心につながればいいと思う」

一方…

【参加した住民】
「何か事故があったときに高田(駐屯地)からすぐ孤立集落に来られるのかどうか、非常に疑問」

先月の地震では、道路の寸断などにより外部から被災地へ入るのに長い時間を要しました。

【県防災局・原直人局長】
「(雪上車はどれくらいで来るのか?)場合によって変わると思う。(原発から5キロ圏内の)PAZの場合だと、即時避難と言いながらも一定の時間はありますので、それについては慎重に対応しながら円滑に避難できるように日頃から準備したい」

県は今回得た課題を、今後の訓練に反映する考えです。