北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正(ヨジョン)氏が2月15日、拉致問題をめぐる日本の態度次第では、岸田総理の訪朝もあり得るという談話を発表しました。政府は、その真意を分析しています。
北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正氏は15日夜、「日本が解決済みの拉致問題を障害物としなければ、岸田総理が平壌を訪問する日が訪れることもあるだろう」という談話を発表しました。
【林官房長官】
「金与正副部長が談話を発出したことには留意をしております」
林官房長官はこのように述べた上で「拉致問題がすでに解決されたとの主張は全く受け入れられない」と強調しました。
政府内には与正氏の談話について「揺さぶりだ」という声の一方、「日本へのシグナル」という見方が出ています。
また、政府関係者からは「日本との正常化を通じ、経済的支援や制裁緩和を得たいと考えている可能性がある」とも指摘も出ていて、政府は談話の真意を分析しています。
日朝会談の実現に意欲を示している岸田首相ですが、具体的な進展がないまま、拉致被害者、横田めぐみさんの母・早紀江さんは2月4日で88歳となりました。
【横田早紀江さん】
「どこまで生かされるか分からない。やっぱり本当に生きている間にひと目でもいいからめぐみちゃんに会って、握手でもいいからしたい。頑張ったねと言ってあげたい。それだけです。願いは」
拉致により13歳で家族の元から引き離された娘に、ただ「頑張ったね」と声をかけたい。
被害者家族の思いを日朝交渉につなげるために、政府は小さな糸口をも掴まなくてはなりません。
一方、花角知事が会長代行を務める「拉致被害者を救出する知事の会」が15日、林官房長官と面会。手渡した要望書には新たな項目が盛り込まれました。
【花角知事】
「県民・国民の拉致問題に対する関心を維持していくためにも、水面下の交渉の問題は大変だと思うが、可能な限り情報提供してもらえないかと」
拉致被害者と家族の再会まで残された時間が少ない中、政府を突き動かす世論は重要な意味を持っています。