我々はウクライナ戦争で何を学ぶべきか?これからの世界はどうなる。

ロシアがウクライナに侵攻して1年。我々はこの戦争から何を学ぶべきなのだろうか? 多くの知識人は、この戦争がはじまるまで、心のどこかで国家間における大規模戦争はもう起こらず、せいぜい小さな紛争やテロとの戦い程度のものしか起こらないと思っていた。
実際、国家間の戦争は得をすることは少なく、損ばかりで頭のいい人はこんな【バカなこと】を誰がするかと考えていたのだ。
しかし・・・だ。ロシアがウクライナに侵攻し、中国が数年後に台湾に攻め込むかもしれないと、真剣に語られるようになったいま、人間は【バカなこと】を仕出かす動物であることを、思い知らされたはずだ。
本当なら2014年のロシアによるクリミア侵略・併合のときに、もっとしっかりとロシアに抗議し、ウクライナの主権を犯したことを怒るべきであった。しかし国際社会は、なあなあのままプーチンを許してしまった。
これがプーチンの成功体験になり、今回のウクライナ侵攻も同じように国際社会は対応するだろうと考えたはずだ。
では日本から見れば、今回のウクライナ侵攻はどうか? 誰もがやらないと思っていた【バカなことを】をプーチンがやった。では、習近平はどうか? 金正恩はどうか? 中国・ロシア・北朝鮮が同時に動き出したら日本はどうすればいいのかということを、これまで以上に真剣に考えなくてはならなくなった。
また他にも学ぶべき点は、国家元首や国民が本気になると、戦力が劣った相手でもそう簡単には勝てないということだ。

誰もがウクライナの抵抗は長くは続かないと思っていた。しかしゼレンスキーは亡命せずに抵抗する意思を見せ、それまで20%代だった支持率はいまや80%代にまで上がっている。
ウクライナ軍も民衆も徹底抗戦して見せた。巨大な敵に1~2か月自力で戦っているとNATO諸国から軍事物資が届くようになり、一時は侵略された地域も奪い返すまでになった。
国家元首と国民の徹底抗戦の意思、いざとなったら共に戦ってくれる仲間を普段から作っておく大切さを見せつけられた。
西側諸国は、ロシアに経済制裁を行ったがいまのところ大きな効果はない。ロシアは資源大国であり、食料も燃料も自国でかなりまかなえる。インドや中国のように経済制裁をしない大国もあり、そうそう音を上げることはないだろう。
そもそも経済制裁がそんなに効くのなら、北朝鮮はとっくに潰れているはずだ。
ウクライナも、西側諸国からの支援が続く限り戦い続けるだろう。と、いうことはこの戦争はすぐに終わることはない。
そして我々がもっとも学ぶべき点は、戦争のようなバカを仕出かす国が、実際にあるということと、そういった国に戦争をさせないためにはどうすればいいのかを考え、いざ戦争になったときのために備えておくことだ。
そしてもう一つ。自分から戦争を仕掛けるようなバカな国にならないよう学び続けることだろう。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。