被害者なのに…実名を出されセクハラ教育、処分受け昇任遅れ 組織の対応「今なお私を苦しめる」

前ページから続き女性自衛官、セクハラ対応「不適切」と国を提訴 那覇基地で先輩から「組織が隠ぺい 二次被・・・ 【東京】航空自衛隊那覇基地でのセクハラ被害を訴えたのに空自が適切に対応せず、不利益な扱いを受けたとして、女性自衛・・・www.okinawatimes.co.jp 「ハラスメントに組織がきちんと対処しなかったマイナスの影響は、今なお私を苦しめ続けている」。航空自衛隊那覇基地でセクハラ被害に遭い、国を相手に訴訟を起こした女性自衛官は27日、弁護団を通じてコメントを寄せた。この間、特別防衛監察など12カ所に相談したが解決にはつながらず。女性は「悪いのは加害者や対処してこなかった人たちで、きちんと行動できる組織になってほしい。さもないと後輩に申し訳が立たない」と提訴に踏み切った理由をつづった。(東京報道部・嘉良謙太朗)
■上長「過去のことを繰り返すな」 女性はこの日、さらなる処分を恐れ、会見には出席しなかった。今回の提訴を巡り、上長から「過去のことを繰り返すな」と言われたと明かす。訓戒処分を受け、昇任も同期で最後になった。睡眠障害やフラッシュバックにも苦しんでいる。
女性の弁護団によると、先輩の男性隊員からのセクハラ発言は2010年に始まり、身体的特徴をからかわれるように。13年には電話で交際相手との性行為をやゆされた。上司に報告し、部内で男性と仕事上の接点を避ける一定の配慮は取られたが、日常的に顔を合わせる状況は続いた。

那覇基地ではパワハラも上司から電話「骨を一本一本折り切り刻んで殺す」 パワハラで退職…幹部に訴えたが「けんか・・・ 自衛隊内のパワハラが2020年に厳罰化されたものの顕著な改善傾向が見られない。沖縄県内の入隊者は1972年から2・・・www.okinawatimes.co.jp■加害者と接触する部署に異動 組織の法務部門に相談するも対応してもらえず、女性の被害を取り上げた基地内の「セクハラ教育」では加害男性は匿名なのに女性だけ実名を明かされた。女性は15年に別の職場へ異動したが、19年に再び元の職場に戻され「加害者と接触する部署で働かざるを得なくなった」(弁護団)という。
加害男性に損害賠償を求めた訴訟では、上司や部下が「セクハラはなかった」旨の陳述書を提出。弁護団は、組織内の法務部門が書面のひな型を作成したと指摘する。女性は同訴訟で、関係者から提供された内部資料を証拠として提出したことで、警務隊に刑事告発された。那覇地検は不起訴としたが、自衛隊内で訓戒処分を受けた。
佐藤博文弁護士は「自衛隊のハラスメントの特殊性は集団性と隠蔽(いんぺい)性にある」と指摘。組織の責任を追及していく考えを示した。