女性自衛官「私を悪者扱い」 セクハラ対応巡り国を提訴 那覇基地で先輩から被害

【東京】航空自衛隊那覇基地でのセクハラ被害を訴えたのに空自が適切に対応せず、不利益な扱いを受けたとして、女性自衛官が27日、国に約1168万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。女性は同日、弁護団を通じ「組織はこの間、それ(セクハラ)を隠蔽(いんぺい)し、私を悪者かのように扱ってきた」とコメント。ハラスメントに対処できる組織になるよう求めた。(東京報道部・嘉良謙太朗)
那覇基地では「パワハラ」も上司から電話「骨を一本一本折り切り刻んで殺す」 パワハラで退職…幹部に訴えたが「けんか・・・ 自衛隊内のパワハラが2020年に厳罰化されたものの顕著な改善傾向が見られない。沖縄県内の入隊者は1972年から2・・・www.okinawatimes.co.jp 原告側の弁護団は同日、東京都霞が関の司法記者クラブで会見。「不利益解消を訴えてきたが、ますます二次被害が進行している。ハラスメントに対する組織としての責任を追及する裁判にしたい」と述べた。
弁護側によると女性は那覇基地に所属していた2010年以降、先輩の男性隊員から電話で交際相手との性行為をやゆされるなどした。組織内のセクハラ相談員や法務部門は対応せず、むしろ加害者側に加担して隠蔽を図ったと主張。被害後も男性と顔を合わせる状況にあり、女性に昇進遅れもあったとして、組織の安全配慮義務に違反したとしている。
男性個人に賠償を求めた訴訟では、那覇地裁が17年の判決で「人格権を侵害する違法なセクハラ発言に当たると判断される可能性が十分にある」と認定。一方、公務員の職務中の行為は個人が賠償責任を負わないとして請求は棄却し、その後確定した。

女性はこの訴訟で、関係者に提供された組織内の調査資料を証拠として提出。これが情報流出に当たるとして自衛隊の捜査機関である警務隊に告発され、訓戒処分を受けた。今回の訴訟では、こうした対応も不利益な扱いに当たると主張している。
元陸上自衛官五ノ井里奈さん(23)が性被害を訴えたことを機に実施された特別防衛監察にも昨年10月、情報を提供したが、再調査はされなかったとしている。男性隊員は、既に定年退職しているという。
空自は本紙の取材に対し「訴状が届いていないため、お答えは差し控えさせていただく」とした。
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