「薬効が本当にすごい野草。意外とわがまま」 育てた約20種類の庭 興味ある人集う場に「ははハーブ」と命名 野草レシピ本出版した大滝百合子さん 沖縄・八重瀬町

沖縄の野草を身近な料理に活用するレシピ本「野草がおいしい おきなわ野の薬草 基本料理レシピ」(ボーダーインク)の著者、大滝百合子さん(54)がこのほど、八重瀬町の自宅に野草を育てる庭を作った。「ははハーブ」と名付け、きれいに鉢植えされた約20種類の野草を育てている。「今後は野草や植物に興味のある人が、気軽に集う場にしたい」と目標を語った。
野草の魅力は豊富な栄養による薬効。薬効のある草を薬草と呼ぶが、野草のほとんどが薬草だという。「傷にヨモギの汁を垂らすとあっという間に治る。草の薬効って本当にすごい」と語る大滝さん。著書でも「野草を食べることで栄養が体の機能を高め、病気を治す手伝いをする」と記している。
野草との出合いは米国で暮らしていた約30年前。乾燥肌に悩んでいた時、薬草に目をつけた。「自然の材料で肌に合った化粧品を作ろう」と思い立ち、手軽に手に入る野草を摘んで化粧品にした。薬草の認知が低かった当時、米国の本を翻訳して日本での普及も目指した。
沖縄に移住することが決まると、沖縄の野草について調べ始めた。図書館で分厚い百科事典を開いて勉強したこともある。
ははハーブは「ははは」という楽しげな笑い声と、「母なる大地」の「はは」にちなんで名付けた。
野草は山で採取したり、畑で捨てられたりしていた物を育てている。根付かせるため、土壌の整備からこだわった。「草って意外とわがまま。環境が合わないとすぐ枯れてしまう」と、一筋縄ではいかない状況も楽しんでいる。
野草の種類を増やしているさなかにあり、自然に生える野草も楽しみに土を整えている。「世話をし過ぎず、自然に任せるのも面白い」とほほ笑む。
薬草で化粧品を作るだけでなく、調理して食べるなど野草を生活に取り入れている。「野菜と一緒で今が旬。2~3月に取れる野草が一番おいしい」。中には薬効が強過ぎて食べられない物もあるが、煎じてお茶にするなど、薬効を薄めて取り入れる工夫をしている。
ははハーブでは今後、野草の苗や著書も販売する予定。「来てくれた人と一緒に植物を眺めながらお話したい。涼しい午前中や夕方がお勧め」と呼びかけた。
訪問希望は大滝さんに事前連絡が必要。電話098(955)1609。メール[email protected](社会部・大庭紗英)
【薬草化粧水の作り方】(1)ヨモギやスミレ、オニタビラコなどの薬草を細かくちぎって瓶に入れる。(2)全体が漬かるように日本酒か泡盛を注ぎ、2週間ほど置く。(3)薬草の色がついたらグリセリン(100ミリリットル当たり小さじ1)を加えて完成。「薬効が本当にすごい野草。意外とわがまま」 育てた約20種類…の画像はこちら >>

大滝百合子さんの著書